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2011年5月 1日 (日)

大本営発表の産経新聞 安全に切り込むNHK 科学のNewton

1.「発がんリスクについて」産経新聞のヒドイ記事

年間100ミリシーベルト被曝の発がんリスク 受動喫煙・野菜不足と同程度

産経新聞の原子力取材班というところにより、「国立がんセンターの調べでと年間100ミリシーベルト以下の放射線によるリスクは受動喫煙や野菜不足と同等ということがわかった」ということで、放射線のリスクを不安がらないでほしいという、「国立がんセンター」のよびかけをそのまま報じている記事が掲載されました。内容的にはなんら新しい情報はないのに、「新たに国立がんセンターが調べたところ、年間100ミリシーベルト以下の放射線によるリスクは極めて小さく安全であることがわかった」と、受けとられるような極めて悪質な記事です。昨晩のNHKニュースでも報じられていますが、「年間100ミリシーベルト以下の被ばくではがん増加の明らかな証拠は観察されていない」のが真実で、影響の程度が学者によって意見がわかれています。どうも国とか御用学者は、この証拠がないのをいいことに「100ミリシーベルト以下は安全」としたいようです。産経新聞の原子力取材班は、様々な見解のある「100ミリシーベルト以下の領域について、他の意見を考慮するなどをせず、「国立がんセンター」の言っていることを鵜呑みにしているので、ジャーナリスト失格だと思います。よくフリーのジャーナリストが大手マスコミが政府の発表をそのまま報じているのを大本営発表といっていますが、この記事はその典型だと思います。

紙面ではどう報じられているか確認しようと思って、今日の産経新聞を買ってみたら、同じ内容の記事が3面に大きく報じられていました。この記事によって、放射線被害(特に子供)が拡大することにならないか、心配になってしまいました。大手マスコミが放射線のリスクを過少評価したことのエビデンスとして、この記事のことをよく覚えておこうと思いました。

2.今日のNHK19時のニュース

上記のように、マスコミは政府と一緒になって、放射線の影響を過少評価するように国民を誘導しようとしているのかと思ったものの、NHKの姿勢は産経新聞とは大きく異なるようです。

校庭の土処分方法 基準提示を

今日のNHKの19時のニュースでは上記のニュースがトップでした。このニュースを重く扱うということは、NHKは郡山市や伊達市など福島県内の6つの自治体が子供の健康を心配していることを重要なことと考えているんだと思います。自治体の申し入れに対し、枝野官房長官は記者会見で、放射性物質が付着している可能性のある校庭の土について、「文部科学省で示した指針に基づいて対応すれば、除去する必要はない」と述べ、さらに「今後、福島第一原子力発電所から半径20キロ以内の地域のがれきの処理や、農地の土壌改良の問題も出てくる。国としては、若干、時間がかかるが、原子力発電所以外で発生した放射性廃棄物の対応について検討を進める」と述べていて、子供の健康を守りたい立場からすると、枝野さんが悪魔に感じるようなコメントを残しています。ただ、国の側に立って、考えてみると、子供の健康を優先して、放射線量の基準を厳しくしてしまうと、野菜が売れなくなったり、子供たちを疎開させなけれなならなかったりするので、日本政府としては子供の健康を守ることよりも、放射線漏れの経済への影響を少なくすることを選択したのかなあと思います。そんな立場の違いを以下の映像が象徴的に表しています。

2011.03.30-3_ワイドスクランブル_武田邦彦vs大学教授2名_激論!原発汚染水対策

この映像の5分40秒ころに、武田先生が野菜の基準を引き上げてはいけないと言い出したところで、大学教授の人が話しをさえぎろうとして、そのあと明らかに「コイツ、ヤバイこと言い出した」というような表情になり、そのあと反論として昔話をしてケムに巻こうとしています。この問題をどうすることが正しいのか、多くの人の利害関係が絡むので、とても難しい問題ではあると思います。

3.Newton6月号

ということで、残念なことに、国やマスコミは放射線のリスクについて、有益な情報を流してくれないので、自分で調べて、自分で判断しなければならない状況であるようです。そんな中で、科学雑誌「Newton」6月号は今回の巨大地震と原発事故について、科学的見地からとてもわかりやすく、説得力のある記事が掲載されていますので、今の状況について自分で調べて、判断する上でとても参考になると思います。

Newton (ニュートン) 2011年 06月号 [雑誌]

僕は小出先生の講演を聴いて、このNewtonを読むことによって、放射線の人体への影響のメカニズムがだいぶわかってきました。放射線が細胞を傷つける際にDNAになんらかの損傷を与えた場合、細胞分裂に何らかの影響がある。だから、細胞分裂が活発な胎児や子供は放射線の影響を受けやすいと考えられる。だが、細胞には損傷を修復する能力もあるので、この修復能力がまだよくわかっていないので、低い放射線量を浴びた場合は確定的な影響はわからないということになるようです。なので、放射線のリスクについては、「ICRPの勧告により・・・」みたいた「誰かが言ったからこの基準」ではなく、「放射線が人体に影響を与えるメカニズムを考えると、この基準」ということを専門家がわかりやすく伝えてくれるといいと思うのですが、このことを、誤解のないように伝えるのは難しいような気がします。しかし、日本政府の今の対応だと、数年後に子供の健康になんらかの悪い影響が発生する可能性はとても高いと思います。

※僕のブログでは、本来趣味の内容を取り上げることにしているのですが、福島第1原発事故についての政府やマスコミの対応があまりにひどいこと、また、自分があまりに原発の問題に無関心だったことを恥じているので、僕のブログでも、微力ながら、自分の知りえた情報を伝える記事をできるだけ書くようにすることにしました。原発関連の記事のみを見る場合は、右にある「カテゴリー」の「原発事故」をクリックすると、記事をまとめて見れるので便利だと思います。

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