市民の敵 産経新聞
産経新聞の社説は読売新聞よりひどいのですが、産経新聞は読売新聞より発行部数は全然少ないし、ネットでの評判も悪く、産経新聞を購読していること自体が恥ずかしいような雰囲気も出来つつあるので、近いうちに自滅すると思って、積極的に無視しようと思ったのですが、どうしても見過ごせないことを社説に書いていて、ちょうど同じ日に、まったく反対の意見を毎日新聞と東京新聞が掲載していたので、合わせて紹介します。
原発耐性検査 枝野経産相の姿勢を問う(1月20日付・産経社説)
関西電力が実施した大飯原発3、4号機に対するストレステスト(耐性検査)の評価をめぐり、経済産業省原子力安全・保安院が「妥当」とする初めての判断を下した。停止している多くの原発の再稼働へ向けた一歩として歓迎したい。
ストレステストは、東京電力の福島第1原発事故を受け、昨年7月に、菅直人政権が国内の原発に導入を義務づけた。どれだけの地震や津波に耐えられるかをコンピューターで解析する。
関電は、津波なら想定の4倍に相当する11・4メートルまで安全性を確保できるなどと報告し、認められた。電力会社側からは、大飯原発の2基を含め、計14基の耐性検査結果が提出されている。保安院は遅滞なく評価を進めてほしい。
ただし、保安院のお墨付きを得ただけでは、原発は再稼働できない。国際原子力機関(IAEA)や原子力安全委員会のチェックを受けたうえで、首相と関係閣僚が判断し、なおかつ地元自治体も了解することが必要だ。
原発利用度が高い関電では今冬、電力供給が逼迫(ひっぱく)して節電を求めている。電力を安定供給するためにも、再稼働を目指して手続きを急がなければならない。
そうした中で今回、保安院が開いた専門家の意見聴取会に原発反対派メンバーらが乱入し、会議が3時間半、開けない異常事態に陥った。専門家の判断をゆがめるような行為は決して許されるものではなく、極めて遺憾である。
枝野幸男経産相も「容認できない」と述べてはいるが、そもそも冷静な議事進行を保証するのは経産相の責任であり、乱入者らの議事妨害は、強制排除に値する。それを放置することは、反対派の妨害活動を助長しかねない。
ストレステストの評価は今後も続く。今回のような混乱を招かないためにも、議事妨害した人物の傍聴は認めないといった、再発防止策を徹底する必要がある。
枝野氏の姿勢は、原発の再稼働に責任を持つべき立場にある担当閣僚としても、疑問がある。
記者会見でも、「大臣の立場を離れた心情としては、再稼働に限りなく慎重であるべきだという主張に近い」と述べ、原発の再稼働に背を向けているという印象を与えた。公平な議論に予断を及ぼしかねない発言だ。日本のエネルギーを真剣に考えてもらいたい。
昨日紹介した、読売新聞の社説と同じく、ストレステストの原子力安全・保安院による評価についての社説で、全体の論調は読売新聞と同様なのですが、許せないのは、原子力安全・保安院に抗議する市民のみなさんを「乱入者」とか「妨害活動」とか、さも悪い人たちのように書いている点です。経済産業省の官僚たちが散々ひどいことをしているのは周知の事実であり、今回の騒動にしても、激しく抗議されても仕方のないような行いをしています。同じ事柄でも、毎日新聞や東京新聞は全く異なる見解を示しています。
社説:原発テスト 「結論ありき」と疑う(1月20日付・毎日社説)
東京電力福島第1原発の重大事故の教訓を今後にどういかそうとしているのか。このところの政府のやり方には疑問が多い。
経済産業省の原子力安全・保安院は関西電力が提出した大飯原発3、4号機の安全評価(ストレステスト)を「妥当」と評価した。再稼働の前提として定期検査中の原発を対象に行われる第1次評価である。
この先、原子力安全委員会の確認や国際原子力機関(IAEA)の評価を受ける。さらに、首相と関係3閣僚が再稼働の是非を政治判断するが、まず技術的な安全性を閣僚が判断することの是非に議論がある。加えて、今回の評価結果を見る限り、技術的な安全評価も「結論ありき」に思える。
保安院が妥当とした関電の評価によると、設計上の想定より1・8倍大きい地震の揺れや4倍大きい11・4メートルの津波に襲われても炉心損傷には至らない。全交流電源が喪失し熱の逃がし場がなくなった場合でも炉心は16日間、使用済み核燃料は10日間、損傷までに余裕があるという。
しかし、評価の前提となっている設計上の想定は東日本大震災以前のものだ。震災で最大の揺れや津波の想定そのものが揺らいでいる。耐震指針や安全設計審査指針の見直しも行われている。もとの想定が信頼できるという保証はどこにもない。
想定が甘ければ甘いほど大きな余裕があるように見える矛盾も内包している。それを思えば、1・8倍や4倍という数値に意味はない。そもそも、事故そのものの検証もまだ終わっていない。少なくとも事故の原因を踏まえ、国民が納得するリスク評価の指針を示すべきではないか。
原発のリスク評価という点では寿命の法規制についても疑問がある。「運転40年を超えたら原則として廃炉」との方針を細野豪志原発事故担当相が発表したのが今月6日。それから2週間もたたないうちに、政府は「例外として60年運転が可能」とする方針を公表した。
いったい、どちらに重きを置いているのか。本気でリスクの高い原発を減らしていくつもりがあるのか。原発政策への不信感を招くやり方だ。
国民の信頼を得るという点では、大飯原発のストレステストの意見聴取会で市民を会場から閉め出した保安院のやり方にも問題があった。基本的には議論の場そのものを公開し、議事に大きな障害が出るような言動があった場合に個別に対応すればすむ話だ。市民団体が疑問視する委員の利益相反についても、きちんと説明するのが先決だ。
原発の再稼働を最終的に判断するのは地元自治体だ。市民の信頼がなければ再稼働もありえない。
関西電力大飯原発3、4号機(福井県おおい町)再稼働への安全評価が妥当とされた。だが、その不透明な審査には、大いに疑問が残る。なぜ国民にもっと丁寧な説明が、できないのだろうか。
安全評価(ストレステスト)は、福島第一原発の事故後に導入された。定期検査で停止した原発を対象に、再稼働を認めるかどうかを判定する一次評価と、全原発を対象に総合的な安全性を調べる二次評価の二段階に分けられる。
一次では地震や津波の衝撃に、原発がどれだけ余裕をもって耐え得るかを審査する。欧州連合(EU)のテストと違い、飛行機事故やテロは考慮しない。二段階評価といいながら、再稼働は一次で決める理解しづらいやり方だ。
どんな地震や津波にどれだけ耐えうるか、肝心の報告書は、コンピューターによる解析に基づいて電力会社が用意する。試験の問題を受験者自身が作成し、自己採点して合否を決めるようなもの。条件の数値を変えれば結果も容易に変えられる。地震の想定などが甘すぎるとの指摘も多い。
報告書を審査する経済産業省原子力安全・保安院は、福島第一原発事故を通じて、チェック機能の弱さをさらけ出し、間もなく原子力安全庁に吸収される機関である。独自の審査基準を示し、評価を下したわけでもない。第一、福島第一原発の事故原因が究明されない段階で、原発の安全性を正しく評価できるわけがない。
原子力行政全般につきまとう密室性も変わっていない。保安院は、重要な節目になる専門家会合の傍聴を一般には認めなかった。原発に対する疑問や不安に全く答えようともせずに、結果をただ受け入れろ、と言われても、多くの国民が納得できるだろうか。
現在、稼働中の原発五基も、四月にはすべて定期検査に入る。この期に及んで保安院は、国民の安全よりも電力会社の負担増に配慮して、再稼働の実績づくりを急いでいるようにしか思えない。
再稼働の是非は、最終的には地元自治体の了承を経て、首相らが政治的に判断する。
福井県の西川一誠知事は「再稼働の判断材料には不十分」と話している。大方の住民、近隣県も同じ意見に違いない。
四月に発足する原子力安全庁が、福島第一原発事故の原因を踏まえて明確な審査基準を示し、科学的な根拠と論証に堪えうる検証を積み直すべきである。
毎日新聞も東京新聞も、抗議した市民のみなさんよりも、経済産業省のやり方を批判しています。今までのいい加減な原発政策の経緯からしても、この方がよっぽど真っ当な意見だと思います。
マスメディアには、権力の横暴を監視する役割が期待されているわけですが、こうした捏造と言ってもいいくらい、事実を捻じ曲げて、市民を悪もの扱いして、権力のある官僚の味方をする産経新聞は、もはやその存在価値はないのではないかと思います。
原発の代替エネルギーの本命はガスタービンコンバインドサイクル発電
「ダッ!ダッ!脱・原発の歌/制服向上委員会」(初披露時の映像)
※僕のブログでは、本来趣味の内容を取り上げることにしているのですが、福島第1原発事故についての政府やマスコミの対応があまりにひどいこと、また、自分があまりに原発の問題に無関心だったことを恥じているので、僕のブログでも、微力ながら、自分の知りえた情報を伝える記事をできるだけ書くようにすることにしました。原発関連の記事のみを見る場合は、右にある「カテゴリー」の「原発事故」をクリックすると、記事をまとめて見れるので便利だと思います。
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