悪魔すぎる読売・産経
大飯原発の再稼働問題について、また、例によって、読売と産経がひどい社説を書いています。物事、多様な意見があってもよいのは当然なものの、読売と産経の社説はあまりに稚拙で、非人間的な偏った内容になっています。一応朝刊のメジャーな新聞がこのような悪魔な記事を書いていることは、とっても恥ずかしいことです。
原発再稼働要請 立地自治体の理解が最優先だ(4月15日付・読売社説)
関西電力大飯原子力発電所3、4号機(福井県おおい町)の再稼働に向けた正念場である。
野田内閣は、速やかに地元の理解を得るよう、一丸となって説得しなければならない。
枝野経済産業相が14日、福井県庁で西川一誠知事や時岡忍おおい町長らと相次いで会談し、大飯原発の再稼働に理解を求めた。
枝野氏は、福井県から要望のあった新たな安全基準に沿って安全性を確認し、再稼働が必要と判断したと説明した。西川知事は再稼働の妥当性を「厳正にチェックしたい」と、回答を留保した。
知事は、枝野氏が原発を重要な電源として活用すると述べた点を評価し、「原発が必要不可欠であることについて、政府はぶれることのないメッセージを出してほしい」と要請した。
立地自治体に協力を求める以上、野田政権は菅前首相らの唱えた、展望なき「脱原発」からの決別を明確にするべきである。
一方で知事は、原発を受け入れてきた地元の努力や貢献が「電力を消費する地域に必ずしも理解されていない」と、強い不満を示した。その後の記者会見では、再稼働の是非は「最終的には立地県が判断すべきだ」とも述べた。
滋賀、京都の両知事や、電力の大量消費地である大阪市の橋下徹市長が、政府の再稼働判断は拙速だと批判しているためだろう。
枝野氏が「日本全国が地元」と発言したことへの反発もある。
もちろん、周辺の自治体から理解を得ることは重要だが、政府は立地自治体の意向を最大限に尊重する必要がある。
定期検査で止めた原発を再稼働しなければ、5月上旬に全原発54基が停止する。特に大飯原発のある関電管内では今夏、最大約20%の電力不足が予想される。
枝野氏は13日の記者会見で、再稼働の必要性に関連し、「停電や電力不足は病気の人や高齢者など社会的弱者に大きなしわ寄せを与える」などと指摘した。
節電などで何とかなるとの楽観論にくみして、電力危機を招くことは「到底許されない」とも強調した。妥当な認識だ。
原発を火力で代替すると、今年度の燃料コストは全国で3・1兆円も増える。枝野氏が「関電管内も遠からず、電力料金の値上げをお願いせざるを得ない」と言うのも、決して大げさではない。
産業空洞化などで日本経済に打撃を与えぬよう、経済性への配慮を欠いてはなるまい。
読売の言っている「地元の理解」とは、何を言っているのでしょうか?この文章からは「経済のために、原発立地地域の人は犠牲になれ」と言っているようにしか読めません。これは米軍基地を沖縄に押し付けていることと全く同じで、とっても傲慢な意見だと思います。また、「もちろん、周辺の自治体から理解を得ることは重要だが、政府は立地自治体の意向を最大限に尊重する必要がある。」という意見も全く説得力がありません。福島原発の事故で、原発立地自治体とは全く関係のない、交付金など一切受け取っていない、地域の人々が住んでいるところを汚され、避難を与儀なくされました。原発事故の想定範囲が今までよりはるかに大きくなったことを受けて、原発立地の恩恵を全く受けていない、周辺自治体の人達の生命の安全をもっと重視すべきです。このように、人の命の大切さを全く考えない読売新聞は、悪魔そのものです。
大飯原発 首相はもっと前面に出よ (4月15日付・産経社説)
政府は関西電力大飯原発3、4号機の再稼働を妥当と判断し、枝野幸男経済産業相が福井県入りして協力を要請した。
西川一誠知事は「議会の意見を聞くとともに、安全性を県でも検討する」と答えた。地元の理解は再稼働に向けた最重要プロセスの一つであり、政府は今後も安全性を丁寧に説明し、早期の再稼働につなげるべきだ。
定期検査で停止した原発の再稼働への協力を政府が立地自治体に訴えたのは初めてで、歓迎したい。しかし一方で、この大事な局面に至っても、野田佳彦首相が前面に出ていないのは問題だ。
野田首相らの関係閣僚会合は、6回に及んだ。関電による中長期を含む安全対策実施計画(工程表)を慎重に評価したうえで、今夏の電力供給も最大18・4%不足すると判断して再稼働を認めた。政府にも、遅まきながら危機感が芽生えたようだ。
西川知事は会談で、「政府の要請は理解した。おおい町や県議会の意見を聞いて決めたい」などと話した。安全性を確認するため、県としても独自の委員会で安全性を検証するという。
全国の原発のうち、約4分の1が立地する福井県は「原発先進県」だ。これまで積み上げてきた知見を生かし、早期の再稼働を判断してほしい。政府も県に全面的に協力しなければならない。
ただ、大飯原発3、4号機が再稼働しても、関電管内の電力不足は解消されない。原子力安全・保安院がストレステスト(耐性検査)1次評価を妥当としているのは、大飯を除くと伊方原発3号機だけだ。政府は他の原発に対しても、迅速にストレステストや新たな安全基準による評価を進めなければならない。
また西川知事は枝野氏に対し、再稼働に反対している周辺自治体との調整も要請した。政府は近く、京都府や滋賀県などに説明を行う予定だ。広く理解を求める姿勢は大事だが、周辺自治体の「同意」まで再稼働に必要な条件とすべきではないだろう。
「脱原発を目指す」などとした枝野氏の発言が、政府の原発政策に対する信頼を大きく損なってきた面は否めない。野田首相は信頼回復のためにも福井県に足を運び、国のエネルギー政策と原発再稼働の必要性を自らの言葉ではっきり語るべきだ。
こちらも「周辺自治体の「同意」まで再稼働に必要な条件とすべきではないだろう。」という寝ぼけたことを書いていますが、この文章からは、なぜ条件とすべきではないと言えるのか、その理由がまったく読み取れません。こんな感じで、読売・産経の書く文章は絶望的なほど稚拙であり、こんな新聞が存在すること自体、青少年の健全な育成に有害なことだと思います。
それに比べて、毎日新聞、東京新聞、朝日新聞はとても真っ当な社説を書いています。
社説:大飯原発再稼働 理解に苦しむ政治判断 (4月15日付・毎日社説)
これで国民に納得してくれというのは到底無理な相談である。再稼働に必要な条件は整っていない。それなのに、なぜ政府は、これほど関西電力大飯原発の再稼働を急ぐのか、理解に苦しむ。
安全性については、再稼働の基準の決め方にも、中身にも、問題がある。本来なら、福島第1原発のような放射能汚染を二度と起こさないという決心のもとに、精査して作らねばならない。にもかかわらず、政府はたった3日間で基準を決め、その後1週間で大飯原発が適合すると判断した。あまりに拙速だ。
しかも、その中身は福島第1原発事故後の緊急対策とストレステスト(安全評価)の1次評価でよしとするものだ。事故の検証が終わっていない以上、これで十分かどうかはわからない。
時間がかかる対策には猶予を与えているが、その間に過酷事故が起きた場合にどう対処するのかも不透明だ。福島第1原発ではかろうじて免震事務棟で事故対応にあたってきた。それを思うと、大飯原発にこれがないのは大きな懸念材料だ。
安全性に懸念がある以上、再稼働にはそれを上回る必要性が示されなくてはならない。ところが、政府が根拠としているのは経済産業省の資源エネルギー庁が示している試算だ。原発推進を担ってきた組織の「言い値」をうのみにはできない。再稼働の必要性は少なくとも第三者の検証を待って判断すべきだ。
その際には、他社からの電力融通や自家発電による電力の購入、揚水発電などをさらに工夫して増やせないか精査が必要だ。電力が不足するといっても、問題は真夏のピーク時だ。その間の電気料金を上げたり、節電すれば料金を割り引く仕組みを作るなど、ピークをカットするための政策も早急に導入してほしい。
政府は「原発ゼロ」をいたずらに恐れるより、あらゆる手段を動員して電力不足を回避しつつ、万が一の停電に備えることが先決だ。
枝野幸男経産相は14日、福井県知事やおおい町長に会い再稼働への理解を求めた。しかし、「地元」の概念は変わった。原発事故の影響がこれほど広範囲に及ぶ以上、立地自治体さえ了解すればいいというわけにいかない。京都府や滋賀県からも同意を得る必要がある。事故を前提とした防災計画など、大阪府市が求めている8条件ももっともだ。
そもそも、再稼働の手続きが、原発の「安全神話」を醸成してきた組織と体制によって進められていること自体がおかしい。置き去りにされている政府の危機管理体制の構築を含め、新たな規制庁を設立してから判断するのが道理である。
地元、国民の安全どこへ 政府の大飯再稼働方針 (4月15日付・東京社説)
政府の大飯原発3、4号機再稼働の方針は、地元とともに私たち国民もよく考えるべきことである。原発に頼らない、安全で豊かな社会に向かって。
政治と政府が責任を持つのだという。それならば、野田佳彦首相と関係三閣僚の皆さんは、もう一度福島の事故現場をつぶさに歩き、被災者や避難者の話をよく聞いてみるといい。
福島第一原発は今も、小規模な核反応が止まらずに汚染水を排出し、残骸をさらし続けている。帰れない人がいる。その数は十六万人に上る。なりわいを奪われ、健康不安を抱え、地域のきずなは引き裂かれ、美田や美林の荒廃になすすべもなく、海の幸をとることもかなわない。がれきの後始末さえ、めどを付けられないでいる。
◆責任、本当に取れるのか
その現実にあらためて接したうえで、それぞれの心に問いかけてみてほしい。「本当に、責任など取れるのか」と。
原子力損害賠償法には免責規定がある。福島第一原発事故後にできた原子力損害賠償支援機構法でも、政府の責任は限定的だ。原発事故の責任を取り切れるものは存在しない。
私たちが繰り返し主張し続けてきたことを、再び述べたい。
枝野幸男経済産業相はこれまでの評価の過程から「二重、三重、四重に安全性を確認した」と言い切った。だが今は、原発の安全性を確認できる状態からはほど遠い。国民の多くがそう思っているだろう。
第一に、福島第一原発事故の原因は、まだ分かっていない。
第二に安全評価(ストレステスト)を実施し、政治判断の根拠となる即席の暫定基準をたった二日で作成したのは、福島事故の原因者ともいうべき、経産省傘下の原子力安全・保安院である。原発推進に偏らず、科学的、中立的な規制機関はまだ存在しない。
関電が政府の要請に対して示した中長期対策の工程表は、八十五項目中三十三項目が未実施だ。
事故発生時に“司令塔”となる免震施設や、原子炉の圧力を下げるベント(排気)時に放射性物質を取り除くフィルターも、完成は三年先だ。地震や津波がそれまで来ないと、誰も保証できない。
地震の揺れでがけ崩れが起こり、非常用電源が使えなくなる恐れ、それと同時に住民の避難路が断たれる可能性、津波による浮遊物が建屋を破壊するケースなど、専門家による多くの指摘が、考慮のうちには入っていない。◆安全神話時代の認識
枝野氏は「電力不足が社会の弱者に深刻な事態をもたらすことを痛感した」とも会見で述べた。
関電はこのまま再稼働ができないと、一昨年並みの猛暑になったとき、最大約二割の電力不足になると試算した。政府はそれを再稼働を急ぐ理由としているが、その見通しは広く検討されたものではない。節電の効果や電力融通の実態も、国民にはよく分からない。
そもそも、電力不足の影響が病人や高齢者に及ばないように工夫をするのが、政治本来の仕事ではないのだろうか。
「原発の地元はどこか」についても、国民的な合意はない。
福島第一原発事故を受け、防災対策の重点区域は、十キロから三十キロ圏内に拡大される。放射能がその日の風向き次第ではるか遠くへ飛散することを、国民は福島事故から学んでいる。
福井の原発について、大阪府と大阪市は原発から百キロ圏内の全自治体と原子力安全協定を結ぶよう、関電に求めている。無理をいっているのではない。福島の悲しい教訓なのである。
藤村修官房長官は「法律で地元同意が義務付けられているわけではない」と言った。安全神話時代の認識ではないか。◆消費者も協調できる
私たちは「原発に頼らない国へ」という主張を続けている。
そこには、原発のリスクを過疎地に押しつけ、電力の大きな恩恵を受けながら、その使用量を右肩上がりに増やし続けてきた、消費者としての自戒が込められている。私たち消費者こそ、原発頼みの電力浪費社会を改める必要に迫られている。
立地地域の人々も、心は揺れているのではないか。原発が危険なことは重々分かっている。原発交付金が、いつまでも続くわけではない。
長年の苦衷を国民全体でくみ取って、共有すべきときである。国策の犠牲者である立地地域だけを、これ以上苦しめ続けていいわけがない。原発に代わる地域経済の新たな柱を用意し、地元に安心をもたらすことも、政府の責務ではないか。消費地から立地地域へ呼びかけたい。ともに原発依存から脱却し、持続可能な日本を築こう。協調しよう。
再稼働と地元―安全への疑問をただせ(4月14日付・朝日社説)
関西電力大飯原発3、4号機(福井県おおい町)について、野田政権が再稼働の妥当性を認めた。
枝野経済産業相が今日、福井県に出向き、西川一誠知事に政府の判断を説明する。
私たちは大飯原発の再稼働は時期尚早だと考える。
西川知事は東京電力福島第一原発の事故を踏まえた安全基準を作るよう、国に求めてきた。
国が「合格」とする安全対策で本当に住民の生活を守れるのか。県民代表として安全を最優先で考えてほしい。
先送りされた対策には、災害発生時の指揮所となる免震事務棟の設置など、安全対策の根幹にかかわるものが含まれる。
避難範囲がどこまで及び、どんな対応が必要か、自治体の防災対策も進んでいない。
経産相には疑問をどんどんぶつけ、ただすべきだ。
国内最多の14基の原発が集中する福井県では今、発電所関連の働き口が縮小し、作業員を対象にした宿泊施設や飲食店なども不況にあえいでいる。
一方で越前市議会は拙速な再稼働に反対する意見書を可決した。県内も一枚岩ではない。
雇用や経済も大事だが、前提となる生活基盤を失わないために脱原発を志向する価値観も、広がっている。
知事にはこうした空気も十分に考慮してもらいたい。
12日には山田啓二・京都府知事と嘉田由紀子・滋賀県知事が大飯原発を視察した。首長として責任ある判断をするためだ。
大飯原発からの距離は、福井県庁より京都府庁の方が近い。福島の事故を受けて、国は防災対策の重点地域を30キロ圏内に広げた。
この圏内に一部が入る京都、滋賀両府県、さらに夏の需給のかぎを握る大消費地、大阪府・市の意見も聞く必要がある。
再稼働の「同意」は立地県から得る。それ以外には「理解」を求める。藤村官房長官らの説明からは手続きを進めんがための意図がみえ、国に対する信頼を損ねている。
自治体も安全に責任を負う姿勢を忘れないでほしい。
福井県には原子力安全専門委員会がある。再稼働について県に助言するが、5人の委員が関電の関連団体などから寄付を受けていた。「中立」と主張するなら専門家として厳正に審査しなければならない。
大阪府・市や滋賀県も、原発の安全性を独自に判断する有識者委員会の設置を検討中だ。地域が主体的に安全管理に関与する動きとして評価する。
こうしたまともな新聞が存在してくれて、本当によかったと思います。読売・産経はとっとと退場してくれることを望みます。
原発の代替エネルギーの本命はガスタービンコンバインドサイクル発電
「ダッ!ダッ!脱・原発の歌/制服向上委員会」(初披露時の映像)
※僕のブログでは、本来趣味の内容を取り上げることにしているのですが、福島第1原発事故についての政府やマスコミの対応があまりにひどいこと、また、自分があまりに原発の問題に無関心だったことを恥じているので、僕のブログでも、微力ながら、自分の知りえた情報を伝える記事をできるだけ書くようにすることにしました。原発関連の記事のみを見る場合は、右にある「カテゴリー」の「原発事故」をクリックすると、記事をまとめて見れるので便利だと思います。
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