どうなる?大飯原発再稼働
大飯原発の再稼働にむけて、原発推進派の動きが活発になってきました。
野田佳彦首相と枝野幸男経済産業相ら3閣僚は5日、関西電力大飯原子力発電所3、4号機(福井県おおい町)の再稼働に向けて協議し、原発再稼働のために必要な安全基準を大筋で了承した。今後の協議で同基準に照らし大飯原発の再稼働が妥当と判断できれば、来週にも経産相が福井県を訪れ、西川一誠知事らに再稼働を直接要請する。
原発推進派が再稼働を急ぐ理由は、5月5日に北海道の泊原発が停止すると、全ての原発が停止してしまい、「なんだ、原発なくても電力足りるじゃん!」ということが国民にバレるのを恐れているから、というのが大方の見解となっています。なので、今月は、原発推進派があらゆる手を使って強引に再稼働を実現しようとすることが予想されるので、事態の推移を注意深く見ている必要があると思います。
そんなわけで、原発再稼働ついて新聞社説の様々な意見を見ていきたいと思います。
まずは、毎度おなじみの悪魔の原発推進新聞、読売、産経の社説から紹介します。
原発新安全基準 丁寧な説明で早期に再稼働を(4月5日付・読売社説)
福井県にある関西電力大飯原子力発電所3、4号機の再稼働に向けた関係閣僚会合で、野田首相は原発の新たな安全基準の策定を指示した。
福井県知事らが、東京電力福島第一原発の事故を踏まえた安全基準なしでは再稼働に同意できない、としているためだ。
再稼働には、安全性に対する地元の理解が欠かせない。政府は安全基準の策定を急ぎ、速やかに地元の説得を開始すべきである。
民主党政権は、ストレステスト(耐性検査)の導入や原子力安全委員会の審査など、法律に基づかない手続きを次々に追加し、再稼働の実現を先延ばししてきた。
場当たり的な対応の結果、全原発54基で運転中は1基に減り、これも5月初旬に停止する。
このまま夏を迎えれば、深刻な電力不足に陥り、足踏みが続く日本経済に大打撃を与えよう。
首相や関係閣僚は時間を空費せず、大飯原発の再稼働を、早期に決断する必要がある。
新たな基準は、経済産業省の原子力安全・保安院がすでに策定した30項目の安全対策を整理し、肉付けした内容になるという。
巨大な地震や津波が起きた場合でも、全電源喪失などを回避し、福島原発のような過酷事故を防ぐための対策を、わかりやすく示すことが求められる。
地元の了承を得るには、政府が原発の安全確認に責任を持たなければならない。関係閣僚と地元自治体の間で、信頼関係を構築することも不可欠だ。
その点で、枝野経産相の不用意な発言が、関係自治体の不信感を増幅させたのは問題だ。
枝野氏は2日の参院予算委員会で、大飯原発に関し「現時点で私も再稼働反対だ」と答弁した。
原発の「地元」の範囲について「あえて聞かれれば日本全国」と語り、福井県に隣接する京都府と滋賀県の知事の理解も得る必要があるとの考えも示した。
自ら安易に再稼働へのハードルを上げるような発言を連発したのは軽率すぎる。電力安定供給に責任を負う閣僚として自覚を欠いているのではないか。
大飯原発の地元や周辺自治体の誤解や混乱を招いた。厳しく批判されたのもうなずける。
枝野氏は発言内容を一部修正したが、真意は必ずしも明確でない。このままでは、原発の立地する県や市町村の首長が、再稼働の受け入れをためらいかねない。
前言を撤回し、丁寧に説明することが必要である。
定期検査で停止している関西電力の大飯原子力発電所3、4号機(福井県おおい町)の再稼働について、新たな条件が課せられた。
3日夜、野田佳彦首相と枝野幸男経済産業相ら関係3閣僚で行われた再稼働の政治判断に関する初協議で、首相が福島原発事故の教訓を踏まえた「暫定的な安全基準」の策定を持ち出したためである。
安全基準は地元の福井県などが求めていた。それに応えること自体には意味がある。だが、結果として、当初期待された再稼働への政治判断を次回協議以降に先送りしたのは極めて問題である。
野田政権は安全性重視の姿勢を印象づける狙いだろう。その一方で、再稼働が遅れ続けると夏の需要ピーク時の電力不足が深刻な現実問題になってくる。原発の安全と社会生活の維持をいかに調和させるかが政治判断に求められている。それを忘れては困る。
そもそも、定期検査を終えた原発の再稼働の条件は、ストレステスト(耐性検査)の1次評価に合格することであったはずだ。
関電による大飯3、4号機の1次評価は昨秋、経産省原子力安全・保安院に提出された。保安院での審査後、国際原子力機関(IAEA)も原子力安全委員会も妥当としている。また電力各社は国の指示に従って、全電源喪失に対処する備えの補強も実施済みだ。
そうした結果を踏まえ、地元の福井県などに閣僚が説明に行く寸前で安全基準が追加されたのは、政権が自らの手で再稼働のゴールを遠ざける行為に等しい。
安全基準の追加は、ストレステストの2次評価に盛り込むべき課題だろう。それをこの段階で突然言い出すのは、安価で安定した電力の供給を必要とする多くの国民の期待を裏切る身勝手なルール変更に他ならない。地元説明の「先頭に立つ覚悟」を語ってきた首相にも、真摯(しんし)な自省を求めたい。
枝野氏の無責任な迷走発言も目に余る。2日の国会では「現時点では再稼働に反対だ」と述べ、保安院と原子力安全委員会の専門家の分析・評価に「得心がいっていない」とも語った。
後で修正されたものの、これでは地元の信頼は得られない。閣僚協議の方向性にも予断を与えかねない不適切な発言だ。電力の安定供給は経産相の主要な責務であることを認識してもらいたい。
原発立地地域周辺の人たちのことなど、全く眼中にない悪魔な意見にはあきれるばかりです。こんな新聞が全国紙として存在していること自体、日本にとってとても恥ずかしいことだと思います。僕は毎度、読売新聞は青少年の健全な育成に有害な新聞と書いていますが、産経新聞は、一般的にもその評判の悪さが浸透しつつあり、購読していると極端な思想の持ち主と思われる可能性があるので、注意したほうがいいと思います。
次は、原発反対派の朝日新聞の社説を紹介します。
原発の再稼働をめぐる関係閣僚の初会合が3日に開かれ、 野田首相は結論を持ち越した。
首相は、次回までに福島第一原発事故を踏まえた安全対策の暫定基準を示すよう、原子力安全・保安院に求めた。
「再稼働の基準にする」として実施したストレステストの1次評価は、当座しのぎの色彩が強かった。それだけでは不十分との判断だ。
原発に対する国民の根強い不信を前に、当初の方針を転換せざるをえなかったということだろう。事故の反省を採り入れた基準に改め、基本に立ち返って安全性を吟味する。そのための軌道修正なら、評価する。
ところが、次回の会合は週内にも開き、基準づくりも「1、2日でハチマキを巻いてやる」(藤村官房長官)のだという。
まるで「衣(ころも)を取りかえればいい」と言わんばかりのスケジュールだ。
もちろん、新たな基準といっても白地に絵を描くわけではない。保安院が独自の事故検証をもとにつくった30項目の対策を「もっとわかりやすくする」作業だ。短時間で可能との見立てなのかもしれない。
だが、このままだと北海道電力の泊原発3号機が5月初めに定期検査に入り、原発の稼働がゼロになる。その前に、関西電力・大飯原発(福井県)の再稼働に道筋をつけたい。そんな思惑が透けてみえる。
30項目の中には、大がかりな工事が必要で、時間を要するものも含まれている。「もっとわかりやすい」基準が、短期に実現できる対策だけになったら、本末転倒だ。「再稼働ありき」の基準は許されない。
確かに、夏場の電力不足は心配である。ただ、見極めるにはまだ時間がある。まずは需給見通しの精査を急ぐ。あわせて、安全対策づくりに腰をすえてかかるべきだ。
作業は当面、保安院が担当するしかないが、本来は4月に新しくできるはずだった原子力規制庁の役割だ。与野党は一刻も早く関連法案の審議に入らなければならない。
政府は、福島第一原発の周辺に、将来にわたって住民が帰宅できない区域の設定を検討しているという。原発で大きな事故が起きれば、取り返しがつかない事態になることを改めて感じさせる。
そもそも原発に「絶対安全」はない。その前提での再稼働はぎりぎりの選択である。形だけの手続きで強行しようとすれば、政権への信用は完全に失われるだろう。
ここ数日の野田政権の強引な動きは、まさに上記記事のように、再稼働ありきで、必死に説得力のある再稼働ストーリーを考えているように見えます。我々は野田政権のやり口をしっかりチェックして、あまりにひどい人は次回の選挙で落選させるようにすることが必要だと思います。
最後は、京都新聞の社説を紹介します。
定期検査で停止中の関西電力大飯原発3、4号機(福井県おおい町)について野田佳彦首相と関係3閣僚がきのう協議し、再稼働させる政治判断を先送りした。福井県に隣接する京都府の山田啓二、滋賀県の嘉田由紀子両知事が再稼働に難色を示しているためだ。
いったん事故が起きれば京滋にも被害が及ぶ可能性が高い。再稼働には両府県の了解が不可欠である。
そもそも再稼働を政治判断することがおかしい。東京電力福島第1原発事故に関する政府や国会の事故調査委員会の報告と原子力規制庁の発足を待ち、科学的知見に基づいた判断であるべきだ。でなければ京滋の理解も得られまい。
福島事故以前の原発行政は立地自治体の意向が反映されてきた。だが、事故では放射性物質が広く拡散し、避難を強いられている周辺自治体の住民は多数に上る。
大飯原発に近い高浜原発(福井県高浜町)で、事故が起きた場合の放射性物質の拡散について京都府が公表した予測でも、50キロ以上離れた京都市右京区や亀岡市へも影響が広がることが分かった。
政府が再稼働の条件とする地元理解の「地元」が、もはや立地自治体だけでないことは明らかだ。
政府の方針には矛盾もある。再稼働では立地自治体を重視しながら、一方で原発事故に備えた防災対策の重点地域を半径30キロまで拡大し、「緊急防護措置区域」とした。ならば、少なくとも30キロ圏内を地元と考えるのが筋だろう。
京都府では大飯原発の半径30キロ圏内に約6万8千人が暮らしており、滋賀県は近畿の水源である琵琶湖を抱える。京滋の両知事が再稼働に慎重になるのは当然だ。
政府は原発の再稼働について安全評価(ストレステスト)の1次評価を踏まえ、地元の理解、同意を得て政治判断するとしている。だが、両知事はストレステストそのものに疑問を呈している。
1次評価は予想される地震や津波に対し、原発がどれほどの余裕を持って耐えられるかを電力会社自身が机上計算するものだ。その結果を原子力安全・保安院、原子力安全委、政府が点検する手順になっている。だが、安全委自らが「総合的な評価としては不十分」と指摘しているのに、型通りの手順を踏めば安全だとは到底言えない。
原子力規制の役割を担うべき原子力規制庁も設置関連法案の国会審議が進まず、発足のめどは立っていない。福島事故の原因はいまだ詳細不明で、事故を反映させた新たな安全基準づくりもまだだ。
原発が再稼働しない場合に電力の需給がどうなるのか、そのデータを政府や電力会社が示す必要もある。越えるべきハードルはこんなにも多い。政府は再稼働の判断を急いではならない。
大飯原発に事故が起こったときには京都府にまで被害が及びかねないので、まさに人ごとではないだけに、その主張にはとっても説得力があります。藤村修官房長官は5日午前の記者会見で、原発再稼働にあたっての地元自治体の同意について「法律などの枠組みで同意が義務付けられているわけではない」と述べたそうなのですが、こうした、国民の安心・安全を軽視した発言は許しがたいと思います。
誰かを犠牲にしてまでも、電力の確保が必要なのかどうか?人としての良心が今問われているのだと思います。
原発の代替エネルギーの本命はガスタービンコンバインドサイクル発電
「ダッ!ダッ!脱・原発の歌/制服向上委員会」(初披露時の映像)
※僕のブログでは、本来趣味の内容を取り上げることにしているのですが、福島第1原発事故についての政府やマスコミの対応があまりにひどいこと、また、自分があまりに原発の問題に無関心だったことを恥じているので、僕のブログでも、微力ながら、自分の知りえた情報を伝える記事をできるだけ書くようにすることにしました。原発関連の記事のみを見る場合は、右にある「カテゴリー」の「原発事故」をクリックすると、記事をまとめて見れるので便利だと思います。
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