破綻寸前の汚染水対策
東京電力が福島第1原子力発電所の敷地内から高濃度の汚染水を海に流出させた件について、日経新聞が社説を書いているので、紹介します。毎日新聞も同様の社説を書いていますが、反原発のスタンスの毎日新聞よりも、本当は原発を推進したいと思っている日経新聞の方が、「こんなことをやっていたら、原発の再稼働などできない。政府に汚染水の問題をなんとかしてもらいたい」という切実さを、感じましたので、日経新聞の記事の方を紹介したいと思いました。
福島第1原子力発電所の敷地内から高濃度の汚染水が海に流出していることが明らかになった。
流出がわずかだとしても海の汚染が今なお続く事実は重い。東京電力が状況把握に手間取り、海洋流出を否定し続けたため、漁業者らは東電への不信を一段と強めた。極めて憂慮すべき事態だ。
東電はタンクにたまり続ける汚染水の処置に苦慮し、放射性物質をほとんど除去した処理済みの水を海に流そうと福島県や関連漁協などに理解を求めようとしていた。実現すれば汚染水を減らす切り札になり得たが、今回の事態で見通しがつかなくなった。
汚染水流出を止めるため、東電は岸壁近くの地盤に薬液を注入し水を通しにくくする。また流出源である疑いが濃い、原子炉建屋周辺のトレンチ(坑道)から汚染水を抜く計画だ。いずれも流出抑制に一定の効果が期待できるが、とりあえずの対症療法にすぎない。
汚染水の発生を減らす抜本策を講じないと、増え続ける汚染水のせいで福島原発の収束作業が滞る事態が予想される。このことは今年4月に地下貯水槽からの低濃度汚染水の漏れが判明した時から指摘されてきた。
東電の汚染水対策は破綻にひんしていると政府は認識すべきだ。もはや東電だけでは手に負えなくなりつつある。政府が一歩前へ出て世界の知恵を集め、長期的な展望にたった対策を考えて実行に移していく必要がある。
汚染水流出で水産物の風評被害の再燃が懸念される。福島県の漁業者は昨年6月、タコ類など放射能の影響がきわめて少ないものから試験操業を始めた。現在は対象魚種を広げ、本格的な操業再開に向けて努力を続けている。
福島県外の市場でも、水揚げした水産物の放射能を調べて消費者の信頼回復に取り組んできた。新たな汚染水流出は水産業の復興をめざす関係者の努力を台無しにしかねない。海の汚染状況の把握に政府と東電はもっと力を入れ、風評の払拭にも努めるべきだ。
汚染水が増え続けて、近い将来破綻するということは、汚染水のニュースを見た人であれば、誰でも容易に想像がつくと思うのですが、日経の言うように、なるべく早く、国が主導で対策を行う必要があると思います。また、この件で、やっぱり東京電力は信用できないという認識が改めて、確認されてしまいました。このことによって、柏崎の原発の再稼働も、一段と難しくなったと思います。
このように、原発を推進する人が信用できないから、みんな原発の再稼働を心配しているのであって、そうした状況を踏まえている日経新聞は、原発容認の立場を取る中で、数少ない常識のあるメディアだと思います。また、逆を言えば、読売新聞や産経新聞や、一部の自称経済学者が、こうした状況を無視して、「一刻も早く原発を再稼働すべきだ」と言っているのは、極めて、非常識であると思うわけです。
あと、東電が汚染水流出を認めたのが、参議院選挙の直後だったのは、単なる偶然だったのでしょうか?
原発の代替エネルギーの本命はガスタービンコンバインドサイクル発電
「ダッ!ダッ!脱・原発の歌/制服向上委員会」(初披露時の映像)
※僕のブログでは、本来趣味の内容を取り上げることにしているのですが、福島第1原発事故についての政府やマスコミの対応があまりにひどいこと、また、自分があまりに原発の問題に無関心だったことを恥じているので、僕のブログでも、微力ながら、自分の知りえた情報を伝える記事をできるだけ書くようにすることにしました。原発関連の記事のみを見る場合は、右にある「カテゴリー」の「原発事故」をクリックすると、記事をまとめて見れるので便利だと思います。
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