輸入メタルマザー検証 The Rolling Stones その2
輸入メタルマザーを使用したザ・ローリングストーンズの日本盤レコードについての記事の第2弾です。色々調べてみて、ザ・ローリングストーンズについては、ワーナーパイオニアより、リリースされた「イッツ・オンリー・ロックンロール」「メイド・イン・ザ・シェイド」「ブラック・アンド・ブルー」「ラブ・ユー・ライブ」が輸入メタルマザーを使用しており、さらに、東芝EMIよりリリースされた、「女たち」は輸入ラッカー盤を使用していることがわかりました。そして、これらのレコードは、当然ながら、日本でカッティングしたレコードよりは、はるかに高音質であることもわかりました。今回は、選曲も音質も素晴らしい「メイド・イン・ザ・シェイド」について紹介します。
「メイド・イン・ザ・シェイド」はレコード100円市で2回発見して、さらに、ディスクユニオンで見本盤が1500円で売られていたのを発見して、合計3枚所有しています。
いつものように、ランオフ部分に刻まれた情報をまとめてみます。
SIDE ONE
①ST-RS-753391-C
(Cのあとに機械刻印で"M"が追記されている)
②ATMP-75
③JISマーク
④M-A-15(サンプル1) M-A-16(サンプル2)
見本盤なし
⑤5-7(サンプル1) 5-7W (サンプル2)
見本盤は⑥のあとに 5-6
⑥PR
⑦3
見本盤 は①のあとに 7
⑧P-8575S1
SIDE TWO
①ST-RS-753392-C
(Cのあとに機械刻印で"M"が追記されている)
②M-A-11(サンプル1) M-A-14(サンプル2)
見本盤なし
③3
見本盤 は①のあとに 4
④PR
⑤JISマーク
⑥P-8575S2
A面の①②⑥、B面の①④がメタルマザーに下から刻まれた情報のようです。見本盤は、大分記載されている情報が違うので、最初期にプレスされた可能性が高いように思われます。しかし、通常盤との音質の差はないように感じました。さすが、日本盤は品質が安定しているということかもしれないです。
「メイド・イン・ザ・シェイド」はローリングストーンズ・レコードから発売された、4枚のレコードから選曲したベストアルバムで、普通に考えると、オリジナルアルバムより、音質が劣ると考えられるためか、中古市場でも人気がなく、100円市でなくても、日本盤は300円で売られているのを見たりします。しかしながら、このアルバムの音質はオリジナル盤に匹敵するくらい優れていると思います。そもそも、オリジナルのマスターテープは数年で劣化するようなしょぼいものではないし、ローリングストーンズ・レコードはマスタリングやカッティングを、主に米国の独立系スタジオに発注していて、毎回、エンジニアが頑張って音作りしている印象があります。このアルバムも、過去のアルバムよりも、よい音にしようと、明らかにリマスターがされていて、気合が入っていることを感じます。
でも、「メイド・イン・ザ・シェイド」の、しかも日本盤の音質がすごくよい、という話は聞いた事がなかったので、僕の所有しているオリジナル盤と聴き比べを行ってみました。
「スティッキー・フィンガーズ」はUS盤(マトAA/BB)UK盤(A4/B4)フランス盤(A3/B4)を所有しています。最初US盤を1300円ほどで購入したのですが、これが、再生中にずっと、プチプチノイズが出続ける残念な状態で、次にフランス盤を4000円ほどで、購入して、こちらはノイズが入り続けることないもののB面の2から3曲目のところで、どうしても、ブチ、ブチ入るキズがあって、そして、5000円ほどで、ノイズのすくないUK盤を購入しました。「スティッキー・フィンガーズ」は独立系スタジオのThe Mastering Labが、カッティングを行い、US盤、特にUK盤、フランス盤はマト3,4ともにほぼ同時にカッティングされたため、音質の差はほとんどないと言われています。上記の盤の中で、フランス盤は、特に盤に厚みがあるので、音質的にも有利と言われています。そして、これらの音源と、比べて「メイド・イン・ザ・シェイド」に収録された3曲は、遜色ない音質ではないかと思います。「そんなことはないだろう」と思った方もいると思いますが、そう思われた方は、「メイド・イン・ザ・シェイド」は安く購入できるので、ぜひとも聴き比べていただいて、感想を聞かせていただけると嬉しいなあと思います。
「メインストリートのならず者」はUS盤(マトCC/CC/BB/CC)を所有しています。ディスクユニオンの特売で、5000円ポストカードつきのUS盤と、6000円ポストカードなしのUK盤が売られていて、どちらも盤質がよかったので、どっちにするかかなり迷って、結局US盤を選びました。このアルバムも、US盤、UK盤ともに音質の違いはあまりないと、言われています。「メインストリートのならず者」はカッティングレベルがすごく高いのが、特徴的で、CDだと、カッティングレベルが高すぎると、音が硬くなったり、高域がキンキンして、好ましくない音になることが多いのですが、このレコードは、そうした破綻は感じられませんでした。そして、「メイド・イン・ザ・シェイド」では、他の曲と合わせるためた、カッティングレベルは抑え気味になっています。この両者を比べると、「Rip This Joint」のように、音数が少ない曲は、「メインストリートのならず者」の方が迫力があっていいかなと思ったりもしたものの、「Tumbling Dice」は「メインストリートのならず者」の方は、音圧上げてるため、女性ボーカルやドラムが響きすぎて、ミックのボーカルが少し聞きづらく感じたり、「Happy」のギターは、「メイド・イン・ザ・シェイド」の方がクリアに聞こえるような気がしたのですが、この辺は好みの問題なので、どっちがいいかは聴くときの気分や体調、再生システムの調子によってかわりそうです。それだけ、「メイド・イン・ザ・シェイド」の音質もかなりのハイレベルなものになっていると思います。
「山羊の頭のスープ」はまだオリジナル盤を入手できてないので、レコード100円市で買った、東芝EMI盤と580円で買ったワーナーパイオニア盤と比較してみました。これらの日本盤と比べると、「メイド・イン・ザ・シェイド」の音の鮮度が圧倒的によくて、特に、「Angie」のギターの音の生生しさはすばらしいです。
、「イッツ・オンリー・ロックンロール」は、前回の記事でUK盤より日本盤が優れていることがわかったので、日本盤と比べてみました。「イッツ・オンリー・ロックンロール」は、モコモコした独自の音質が特徴的であったわけですが、「メイド・イン・ザ・シェイド」では、これも、他の曲と合わせるためか、よりレンジの広いクリアーな音で収録されています。ここに収録された、「It's Only Rock 'N Roll」「Dance Little Sister」は、前回の記事で、中域を強調した音作りのおかげで、ギターやボーカルに迫力が出て、ギターソロになるとギターが立体的に迫ってくるような迫力を感じたのですが、「メイド・イン・ザ・シェイド」では、ワイドレンジにしたおかげで、その迫力が薄まってしまったように感じました。しかし、「メイド・イン・ザ・シェイド」のクリアな音の方が好ましいと感じる人もいるのではないかと思います。
以上のように、「メイド・イン・ザ・シェイド」の日本盤は、ローリングストーンズの70年代前半の名曲がまとめて楽しめることに加えて、輸入メタルマザーを使用したおかげで、これらの曲が高音質で聴けるので、素晴らしいレコードだと思います。
Made In The Shade
A1 Brown Sugar 3:50
A2 Tumbling Dice 3:30
A3 Happy 3:00
A4 Dance Little Sister 4:12
A5 Wild Horses 5:41
B1 Angie 4:31
B2 Bitch 3:42
B3 It's Only Rock 'N Roll (But I Like It) 5:08
B4 Doo Doo Doo Doo Doo (Heartbreaker) 3:27
B5 Rip This Joint 2:24
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