「with the Beatles」のUK MONOはマトリクス7が良いのでは
僕が、ビートルズのアナログレコードにハマるきっかけは、2009年にリマスターCDが発売されたときの試聴会がきっかけで、
このときは、試聴で使われた、「Please Please Me 」UKアナログ ゴールドパーロフォンが、コンディションVG+で9万2千円ということをきいて、自分には、縁遠い世界だと思っていたのですが、その後、あるていどのUKオリジナル盤は、さほど、高額でなくとも買えることがわかったので、昨年の後半くらいから、アナログ盤の収集を始めました。そして、この試聴会で使われたレコードと同等のレコードをいつくか、購入することができました。そんな中、「with the Beatles」のUKオリジナル・MONO盤には、思うところがあったので、書いてみます。
「with the Beatles」のUKオリジナル・MONO盤は、一番最初に出た、マトリクス1の盤が、「ラウドカット」と言われて、評判が高かったのですが、運良く、ヤフオクで、5000円ほどで、入手することができました。(写真左)そして、「with the Beatles」は、短期間のあいだにリカットがなんども行われて、リリース後であまりたってない時期にもかかわらず、マトリクスが7まで進んだことが有名なので、ちょうど、近所のBe-Inレコードで、マトリクス7の激安盤(写真右)を約4000円で売っていたので、これを買って、両者を聴き比べたところ、僕は、マトリクス7の方が聞きやすいと感じました。リカットを何回も繰り返されたことについて、こういうことだったのではないかと、思ったところがあるので、書いてみたいと思います。
レーベルの下の送り溝(ランオフ)の部分にそれそれ、1N、7Nと書いてあるので、マトリクスの違いは一目瞭然になっています。また、レーベルの記載内容も、同じマトリクスでも、時期によって違ったりするそうなのですが、僕は、音の違い以外はあまり興味がないので、よくわかりません。で、、「with the Beatles」のラウドカットと言われるマトリクス1なのですが、確かに、全体にラウドに聞こえるものの、リンゴのシンバルの音が、曲によって、潰れ気味になり、僕のしょぼい再生システムでは、いい音で再生できませんでした。それに比べて、マトリクス7の方は、リンゴのシンバルが綺麗に聴こえて、さらに、他の楽器、ボーカルとのバランスがよいように思いました。
ファーストアルバムの「Please Please Me 」に比べて、このアルバムでは、リンゴがリズムを刻む際に、シンバルを派手に叩いているのが、すごく特徴的だったりします。リズムを刻む時に、派手にシンバルを叩くと、音の余韻が多いために、シンバルがすごくうるさく聴こえてるので、こうした音は、今の常識では、曲のサビの盛り上がった部分のみ使うのが一般的なのですが、リンゴはこのアルバムでは、ミドルテンポの曲のAメロから、こうしたラウドなシンバルの叩き方を多用しています。リンゴのこうしたドラム奏法は、シングル曲「She Loves You」から始まって、アルバムHELPの「Dizzy Miss Lizzy」まで続けているのが、ビートルズの曲を意識的に聴いてみるとわかります。リンゴがこうしたシンバルの使い方をなぜ、するようになったか、不明なのですが、やっぱり、ビートルズサウンドを、元気で荒々しいイメージにするために、意図的にやっていたのではないかと、僕は思うですが、どうでしょうか。
そして、エンジニアが何度も「with the Beatles」をリカットしたのは、リンゴのシンバルがうまく、再現できなかかったからではないかと、僕は思っています。ラウドに刻むリンゴのシンバルの音は、マトリクス1の音だと、安いシステムでは、高域のノイズのように聞こえてしまったのではないかと思います。僕のシステムでも、マトリクス1のリンゴのシンバルの音がうまく再生できない曲が多く、マトリクス7の方がバランスよく、聴きやすくいい音だと思いました。ただ、リンゴの出番の少ない、「Till There Was You」などは、マトリクス1の方が、迫力あっていい音かなあと思ったりします。
The Beatles Roll Over Beethoven Live at Washington
上記は、「with the Beatles」のB面1曲目の「Roll Over Beethoven」ですが、この映像でも、リンゴがシンバルを元気に激しく叩いているのがよくわかります。
こんな感じで、僕は、「with the Beatles」のラウドカットが最強という風潮に、激しく疑問を感じてしまいました。もうちょっと、マトリクス1か7か、どちらがよいか、議論が行われもいいんじゃないかと思いました。僕は、普段聴くならマトリクス7の方がいいなあと思いました。こうした、マトリクスは、最初期が1番いいという通説には、僕常々疑問を感じているのですが、こうした、後のプレスの方がいいんじゃないだろうかという記事は、今後も頻繁に載せたいと考えています。
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コメント
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はじめまして。さむいなつひこと申します
記事を拝見して、私も同意件です。
私もWith The BeatlesのUK MONO1Nを購入したのですが、やはりリンゴのシンバルの響きに違和感を感じました。むか~し買った日本盤のほうが慣れ親しんだためか、そちらの方が聴きやすいような気がします。モノラル専用の針を使っていないから…と専門家に言われそうですが、初回カッティング盤については、今後も議論がひつようですね。
投稿: さむいなつひこ | 2016年5月 4日 (水) 08時39分
さむいなつひこさん、
はじめまして、コメントありがとうございます。励みになります。
最近は、以前ほど初回盤や若いマトリクス番号の盤がもてはやされることはなくなってきたような気がしますが、もっと色々な意見が出て議論が盛り上がったりすると楽しいんじゃないかなと思っています。
最近の僕はなかなかブログ更新できなかったりしていますが、今後もアナログ盤の音質に関する記事を書いていこうと思っていますので、また、よろしくお願いします。
投稿: よたよた | 2016年5月 4日 (水) 22時12分
amazon オンデマンドで「The Beatles 音源徹底分析 上・下」を出版している八木彬夫です。
貴ブログで拙著を紹介いただければ幸いです。
内容紹介
ザ・ビートルズについては多数の書籍が書かれており、今や出尽くした感があります。本書は、これまで行われたことがなかった定位の分析を行うことで、正規発売だけでなく現在入手可能なブートレグの音源までも含め、一曲ごとに詳細な分析を行ったものです。
上巻では、彼らのデビューからコンサートを止めてしまう66年までの期間を追いました。
下巻では、彼らが挑戦した新しい音の追求、67年のストロベリー・フィールズ・フォーエヴァーから、最後の録音となった70年のアイ・ミー・マインまで。さらには謎に満ちたゲット・バック・セッションの全貌を明らかに。
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著者について
1960年生まれ。ビートル・マニアとしては第二世代に属する。著者自身が様々な楽器を演奏し、現在も音楽活動を続けている。これらの知識と経験をもとに、まとめた本書は、小説投稿サイトにおいて、合計200,000PVの閲覧がされている。
ブログ:http://beatles-analyze.blog.jp/
投稿: 八木彬夫 | 2018年2月16日 (金) 20時21分