イン・スルー・ジ・アウト・ドア 「STRAWBERRY刻印」あり:なしの謎
レココレのZEPリマスター特集の記事に、イン・スルー・ジ・アウト・ドアの国内盤で 「STRAWBERRY刻印」あり:なしがあり、どちらが先のプレスか不明と書かれていたことを記事にしたら、レコード盤のプレスマークを確認することで、判明できるのではという、有益なコメントをいただいたので、せっかくなので記事にまとめてみたいと思います。
残念ながら、現在僕が所有している盤は中途半端な時期のプレスのようなので、情報としては不足していますが、今後、多くの情報が集まれば、かなり確信に迫れるのではないかと思っています。
なお、プレスマークについては、前記事のコメントでハットフィールドさんが、詳しく説明していただいていますが、他には、湯浅学氏の著書「アナログミステリーツアー1967-1970」の217ページのコラムに詳しく書かれています。ここでは、東芝系のプレスマークの説明が書かれていて、60年代と70年代以降では、プレスマークの記載方法が異なるようです。また、ワーナーパイオニアは自社のプレス工場がなく、プレスをいろいろなところに委託していたようなので、イン・スルー・ジ・アウト・ドアについては、東芝の工場でプレスされていたため、プレスマークがわかりやくなっているようです。また、そういった観点で、僕の過去の輸入メタルマザーの記事を見返していただけると、A面の送り溝情報の中に、プレスマークらしきものが、発見できると思います。そして、僕の見方も一部間違っていたようで、例えばジョンレノンのダブルファンタジーについて、「Z-0」と書いてしまったのは、これは、逆方向から見てしまったようで、「0-Z」であれば、1980年12月に追悼盤として追加プレスされたものと、合点がいくようになります。なので、僕も、改めて送り溝の部分をしっかり見る必要があるかなと思っています。
僕はイン・スルー・ジ・アウト・ドアの国内盤を3枚所有しています。上が一番最近入手したもので、レコード100円市で購入したものです。
こちらも以前レコード100円市で購入したものです。
こちらは、普通に中古レコード屋で購入したものですが、値段は忘れしまいました。どの盤も帯、茶色の袋はない状態でした。
レーベル面はどれも違いはなさそうなので、1パターンのみ掲載します。
で、肝心の送り溝の情報なのですが、以下のようになっていました。
・サンプル1
A面
①P-10726N1
②STRAWBERRY
③0-6
④L-B-12
⑤3
B面
①P-10726N2
②STRAWBERRY
③L-B-8
④3
・サンプル2
A面
①P-10726N1
②8-6
③1-A-17
④3
⑤JISマーク
B面
①P-10726N2
②1-B-1
③3
④JISマーク
・サンプル3
A面
①P-10726N1
②8-6
③1-C-7
④3
⑤JISマーク
B面
①P-10726N2
②1-B-12
③3
④JISマーク
プレスマークからすると、サンプル1が1980年6月、サンプル2、3が1988年6月のプレスとなります。なので、上記の情報からすると、やはり、「STRAWBERRY刻印あり」が先のプレスなのではないかと思うのですが、では、リリース時の1979年8月のプレスはどうか、途中で切り替わったとしたら、何年ごろから、刻印なしに切り替わったのか、知りたいところです。また、1988年8月には、ワーナーパイオニアのレコード廉価盤販売キャンペーンがあったという有益な情報もコメントでいただきましたので、そのため、1988年プレスの盤が中古市場で発見しやすくなっているのかもしれないということもわかりました。特にイン・スルー・ジ・アウト・ドアはジャケットの種類が6パターンあるので、この機会にジャケット違いを揃えようとするマニア向けに少し多めのプレスされたのかもしれないということも考えられます。
肝心の刻印ありなし、の音の違いなのですが、B面2曲目の「ALL MY LOVE」のイントロ部分を聴くと違いがわかりやすいと思います。STRAWBERRY刻印ありの方は、ドラムが入るところのバスドラの音がものすごい迫力で鳴ります。刻印なしの方はバスドラの迫力を少し抑えていて、イントロの演奏が少し抑え気味になっていることから、ロバートプラントの歌い出しの部分が、より際立って感じられます。なので、この曲調からすると、刻印なしの方が合っていて、LED ZEPPELINらしさでいうと、刻印ありの方なのではないかと思っています。なので、どちらがいいかは、好みがわかれそうだと思います。
僕はイン・スルー・ジ・アウト・ドアがリリースされた時期には、LED ZEPPELINにさほど詳しくなかったので、FMラジオで初めて「ALL MY LOVE」をラジオで聴いたときには、「こういうメロウな曲でも、こんなにうるさいドラムの入り方をするんだ」と、思って強く印象に残ったことを覚えています。なので、やはりリリース時にラジオ局がかけた盤も刻印ありのものではないかと思っています。
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コメント
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古い記事なのでもう解決されていたら教えてください。(それにLed Zeppelinカテゴリしか見てないので。すみません)
私がITTODを新品で購入したのは1982年から1985年の間のどこかです。STRAWBERRY刻印はありません。1986年に引っ越した際には手元にありましたので、1988年以降に購入していないのは確かです。でもレコードには8-6のPMがあります。とてもかすれていて見にくいですが。
中古でもう一枚持っています。こちらはSTRAWBERRY刻印ありでPMは8-6です。こちらもかすれていますが前者よりくっきりしています。
整理すると、
STRAWBERRY刻印なし
8-6
1-A-7/1-A-8
STRAWBERRY刻印あり
8-6
L-B-1/L-B-1
どちらもマザーもしくはスタンパーがそれなりに進んでいるのではっきり言えないのですが、ひょっとしてPMは逆から見た9-8が正しい方向(STRAWBERRY刻印の向きと同じ方向)ということは考えられないでしょうか?
私の持っているものが1-A-1、L-A-1であれば良かったのですが…。
投稿: はっとりくん | 2022年1月17日 (月) 18時15分
はっとりくんさん、コメントありがとうございます。
輸入原版を使用しているレコードはマトリクスがLから始まるのそうなので、刻印ありなしとまさに合致していますね。PMは9-8と考えるのが自然なようですね。そうすると、プレス初期から、輸入原版と国内カッティングがあった可能性もありそうですね。謎は深まりましたが、有益な情報ありがとうございました。
投稿: よたよた | 2022年1月17日 (月) 20時10分
早々のご返信ありがとうございました。
どうでも良い補足ですが、1985年までに私が住んでいた所はかなりの田舎でしたので、1979年に発売されたレコードが販売店で塩漬け状態になっていた可能性は十分に考えられます。
それにしても、ラッカーが送られてくることが分かっていたのに、なぜ日本独自のラッカー版を作成したのでしょうか。それか、ラッカーが送られてくることを知らされるより前にマスターテープだけが送られてきたとか。もう作ってしまったんで、どうせ売れるからプレスに回して一気に沢山販売してしまえという感じだったのでしょうか。でもジャケットの背表紙は刻印ありには"SS"表記がありますが、刻印なしにはありません。ということは、ジャケットはあり/なしでちゃんと分けているので、単にレコード盤増産のためだけではなさそうです。
投稿: はっとりくん | 2022年1月17日 (月) 21時49分
↑訂正です。海外から送られてくるのはラッカーではなくマザーですかね。
投稿: はっとりくん | 2022年1月18日 (火) 08時34分