森高千里のアナログシングル
ちょうど先日、森高千里の「見て」のアナログ盤がヤフオクに750円開始といったリーズナブルな値段で出品されていたのですが、結局落札価格は4,110円まで高騰していました。なので、やっぱりこのレコードを100円で買えたレコード100円市は偉大だなあと改めて思いました。
そして、「見て」のアナログがすごくよかったので、シングルも欲しくなってしばらくヤフオクを注目していたのですが、先日なんと、森高千里のアナログシングルを10枚の見本盤がまとめて出品されていたので、これはチャンスと思い落札しました。この見本盤は有線放送の放送所とかで保管されていたようで、ジャケットにはテープをはがした後があり、ジャケットのコンディションは今一つ(それは出品写真で承知の上でした)ではあるものの、こうしてまとめて入手できる機会はそう多くないと思って、かなり気合の入った上限価格を設定して入札して、終了直前には、何人かの人が競ってきたものの、僕が一歩も引かない価格を設定していることがわかると、皆すぐに降りてくれたのですが、それでも最終的には1万円をちょっと上回る価格になりました。ジャケットのコンディションからすると、ちょっと割高だったかなあとも思ったものの、まとめて一度に入手できたので、よかったと思っています。
今回の入手で、存在する森高千里のアナログシングルをほとんど揃えることができました。厳密には、あとサンプル盤で「ストレス」の片面シングルがあるのですが、これだけ揃えてれば、いずれ機会があるときでいいかなと思っています。
こうして、森高千里のシングル盤がまとめて、レーベル面まで紹介される機会はあまりないと思うので、ここで一気に紹介したいと思います。
・NEW SEASON (1987年5月25日発売)
ファーストシングルは、レコード封入型のジャケットで、こうしたところからもレコード会社が売り出しに力を入れていたことがわかります。
送り溝の刻印は、A面B面ともに1-A-1でした。ワーナーパイオニアの見本盤って、スタンパー番号と思われる枝番の数字が二ケタになっていることが多く、決して見本盤だからといって、初期スタンパーが使われているとは限らないのですが、このレコードの場合は、アナログ盤末期だからか、最初期スタンパーから見本盤が作られているようです。
・オーバーヒート・ナイト (1987年10月25日)
セカンドシングルも、レコード封入型のジャケットでこちらの送り溝の刻印は、A面B面ともに、1-A-3でした。
・GET SMILE (1988年2月25日発売)
サードシングルから、ジャケットは通常の1枚紙のものになります。こちらの送り溝の刻印はA面B面ともに1-A-2でした。
・ザ・ミーハー(スペシャル・ミーハー・ミックス) (1988年4月25日発売)
「ミーハー」から音質がぐっとゴージャスになります。7インチシングル盤というと、曲の短縮バージョンが収録されているというイメージがありますが、このミーハーはなんとA面がリミックスロングバージョンと挑戦的であり、それでいて、音質もまるで12インチシングルを聴いているようなワイドレンジで余裕のある迫力のある音で鳴ってくれます。これとか、「見て」を聴いていると、森高千里を担当したカッティングエンジニアさんは、アナログ末期に、これが最後と思って、アナログの限界に挑戦しようとしてカッティングをしたんじゃないかと想像してしまいます。
送り溝の刻印は、A面が1-A-1でB面が2-A-1でした。B面のオリジナルバージョンのマスター番号が2になっているのは、何らかの理由があってリカットされたのか、ちょっと興味深いです。
・Romantic
こちらは市販されていない、ミニアルバム「Romantic」をプロモーションするために作られたレコードです。なのに、B面は、「Romantic」に収録されていない曲が入っているのが不思議なのですが、曲を聴くと、A面がエンディングにピアノソロがちょっと長く入っているので、B面もピアノソロがフィーチャーされていることから、両面に統一感を感じます。
送り溝の刻印はA面、B面ともに1-A-1なので、もしかしたら、スタンパー1枚分しかプレスされなかったのかもしれないです。
・ALONE (1988年10月25日発売)
「見て」では内周部分に収録されていたため、やや迫力不足に感じたこの曲の音質が、このシングル盤だと迫力たっぷりに鳴ってくれました。アルバムバージョンの方がややフェイドアウトが長いのですが、「ALONE」をアナログ盤で楽しく聴く場合には、このシングル盤の方が上だと感じました。
送り溝の刻印は、A面B面ともに1-A-2でした。
・ザ・ストレス (ストレス中近東ヴァージョン) (1989年2月25日発売)
この「ザ・ストレス (ストレス中近東ヴァージョン)」は今回一番楽しみだったのですが、期待通りの音で鳴ってくれました。僕にとって「ザ・ストレス」はストレス中近東ヴァージョンの方が馴染み深かったので、このヴァージョンが今になってアナログの迫力ある音で聴けてすごく感激しました。
送り溝の刻印は、A面B面ともに1-A-1でした。
市販されたシングル盤はこれが最後となります。
・17才
シングル盤の市販はされなくなったものの、この後プロモーション用のレコードが3枚製作されたようです。ただ、送り溝の刻印の形式が変わっているので、もしかしたら、原版のカッティングも外注されたものなのかもしれません。
大ヒットシングルの「17才」は片面シングルなのですが、とても興味深いことに、この盤はモノラル・ミックスになっています。ステレオが普及した直後のUSプロモ盤にモノラル盤があったという話はよく聞きますが、80年代末期の日本盤でプロモ用のモノラル盤があったとは驚きです。ただ、有線放送を流しているお店で、2台のスピーカーの配置が滅茶苦茶だったりすると、変なバランスでステレオ音源を聴くことになって、気持ち悪く感じることがあるので、プロモージョンという性格からすると、モノラルであることも頷けます。当時はステレオFM放送局も多くなかったし、大手のFM放送局はもうCDに移行済であったと想定すると、このプロモーション盤は、有線放送曲と、ローカルAM放送局をターゲットにして制作されたのではないかと想像してしまうのですが、どうでしょうか。
こうした、17才のアナログモノラルミックスも楽しく聴けています。
送り溝の刻印は、「LRS-2022-1 X1」となっていました。
・だいて (ラスベガス・ヴァージョン)
こちらも、片面シングルですが、ステレオ収録されています。
送り溝の刻印は、「LRS-2044-1-1 X」でした。
・道/青春
この「道/青春」の両A面シングルのプロモーション盤がアナログ最後となります。この曲もアナログ盤で聴けることに感激したのですが、特に「道」のドラムのスネアの音が打ち込み丸出しのダサダサの音で、もうこの頃になると、スケジュール優先で音源制作されるようになってしまったのかなあと、ちょっと残念に思ってしまいました。しかし、逆を言えばこの盤の直前までは、音源制作にもものすごく力が入っていて、それが、アナログ盤の音がよい原動力になっていたのではないかと、改めて感じました。
送り溝の刻印は、A面が「LRS-2063-1-1 A1」でB面が「LRS-2063-2-1 A1」でした。
こうして、森高千里のアナログシングルをまとめて聴くと、12インチシングル並の挑戦的なリミックスが高音質で収録されていたり、プロモ用の片面シングルやモノラルミックスがあったりと、とてもバラエティ豊かで楽しめました。やっぱり森高千里のアナログ盤は、アナログ末期のレコードを楽しめるということで、アナログレコードファンは注目すべきなのではないかと改めて思いました。
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溝のカッティングなど事とか色々と「なるほど」って思いました😲。大変興味深かったです😌
投稿: 中村敬雄 | 2020年4月22日 (水) 21時17分