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2016年5月 6日 (金)

イマジンの日本盤はかなりいいです

ラムのPTS盤がかなりよかったので、同様のものがないか手持ちのレコードを確認したら、「イマジン」の4チャンネル盤がPTS盤だということがわかりました。僕は「イマジン」はUS盤、UK盤を持っていないので、100円レコード市で買った、日本盤の通常盤と、CDの2000年リミックス盤と2010年リマスター盤を使って聴き比べをしてみました。その結果、PTS盤ではない、日本盤の通常盤がかなり音がいいことがわかりました。さらに、4チャンネル盤は、通常盤での不満点を補完するような感じで、よい点があったので、僕としては、「イマジン」はこの2枚があれば、US盤、UK盤も要らないかなと思いました。

最初にいつものごとく、レーベル面の写真と送り溝の情報を記載します。

・通常盤

P1010370

P1010372P1010373

送り溝の情報は

SIDE 1
YEX865 2S2 7 JISマーク 1J [

SIDE 2
YEX865 1S 4 JISマーク

となっていて”[”が謎ですが、"1J”から1971年10月にプレスされた盤のようです。jジャケットには、「東芝音楽工業株式会社 ¥2,000」とあるので、初期盤で間違いないと思います。盤質もすごくよくて、帯はないものの、こうしたリリース初期の盤が100円で買えるレコード100円市はやはり偉大です。

・4チャンネル盤

P1010374


P1010385P1010384

送り溝の情報は

SIDE 1
QEX865 1S 7 JISマーク P 4-3W

SIDE 2
QEX866 1S 6 JISマーク P

プレスマークより、1974年3月にプレスされた盤のようです。ジャケットには、「東芝EMI株式会社 ¥2,300」とありました。これは、100円市ではなく、普通に中古レコード店で購入しましたが、特にプレミア価格ではなく、普通の中古盤にありがちな価格で購入しました。

この盤がPTS方式でカッティングされたことは、4チャンネル方式の説明を書いた紙に記載されていました。

P1010375


P1010378

それで、4チャンネル盤と通常盤を聴き比べると、通常盤の方が低域がすごくしっかり出ていてなおかつ太い音がして、驚きました。このアルバムを音質を気にしながらじっくり聴いたのは、今回が初めてだったのですが、曲によって、音の傾向がかなり違うのが厄介だなと感じました。例えば、「 I Don't Want To Be A Soldier」が派手にエコーがかかったサウンドながら、「It's So Hard」は各楽器の音が生々しく聴けたりとか、かなり異なります。そんな中で、アナログ盤で聴く楽しみがわかりやすいのは、「Crippled Inside」、「It's So Hard」あたりかなと思いました。この2曲は、US盤やUK盤と比べてもかなりいい勝負になるのではないかと思います。

ただ、通常盤で、音がよくないと感じたのは、「Gimme Some Truth」、「How Do You Sleep?」でした。ただ、これは、2010年リマスターCDを聴いても、同様に感じたので、マスターに問題があったのではないかと思います。「Gimme Some Truth」は、おそらく迫力を出すためにわざと音をごちゃごちゃにして混沌とした感じにしているのかと思うのですが、音がこもった感じになって、ダビングを何度か繰り返したテープを聴いているような音質になってしまっています。ただ、これを改善しようとしたと思われる2000年リミックスCDを聴くと、確かにクリアーな音になっているものの、なんだか迫力不足に感じてしまいます。「How Do You Sleep?」は、歌い出しから、バスドラ、ベース、ハイハットの音のみ、音圧が高くそれ以外の音が引っ込んだ感じで迫力不足の音になっていて、エンディングのエレピのソロの部分になって音圧が上がるという不思議な感じになっています。2010年リマスターCDは歌声だけ、ちょっとだけ音圧が上がっている感じですが、全体的に迫力不足なのは、一緒だと思いました。2000年リミックスCDでは、やはりこの点を改善しようとしているみたいなのですが、エレピのバッキングのフレーズがなぜが目立ってしまって、こうなると曲の印象が大きく変わってしまうので、ちょっとリミックスしすぎと思ってしまいます。

あと、通常盤では、演奏の音が迫力たっぷりに鳴るかわりに、ジョンのボーカルがちょっとだけ引っ込んだような印象を受けました。今回、じっくりこのアルバムを聴いてみて、ジョンの歌い方が弱すぎると感じました。よく言えば繊細なボーカルといえるのかもしれないですが、初期ビートルズで激しい歌い方をしていたジョンが好きな僕としては、このアルバムのジョンの歌声がなんでこんなに弱いのか、すごく疑問です。例えば、ラフな曲の「It's So Hard」では、ボーカルにへんなイコライジングをかけて、音もあまり伸ばさないので、これではバックの音に歌声が埋もれやすくなるのも仕方ないと感じます。

僕は、「イマジン」はいい曲が多いアルバムだと思っていたものの、あまり深くのめり込まなかった理由が今回じっくり聴いてわかった気がします。このアルバムのジョンのボーカルは、僕はあまり好きではないです。

で、ようやく4チャンネル盤についての話なのですが、4チャンネル盤は、通常盤ほど太い音は出ませんでした。でも、そのかわり、ジョンのボーカルが聴きやすいと感じました。また、4チャンネル盤は、通常盤と違うミックスがされています。わかりやすいところでは、「I Don't Want To Be A Soldier」のエンディングのSEの音が異なるところとか、「Jealous Guy」のサビの後半のストリングスの低音が強調されているとか、「How Do You Sleep?」がいきなり歌い出しのところから、始まるなのど違いがありました。それで、「How Do You Sleep?」は歌やギターのバッキングが音圧たっぷりで迫力のあるサウンドになっています。なので、「How Do You Sleep?」のベストは4チャンネル盤なのではないかと僕は思いました。「Gimme Some Truth」は残念ながら、通常盤と同様の、こもった音でした。

ということで、4チャンネル盤では、若干ジョンのボーカルが聴きやすくなっていたりとか、通常盤では不満のある「How Do You Sleep?」の欠点が解消されているという点があるので、通常盤を補完する役目を担っていると感じたわけです。

通常盤にはPTS方式であることが記載されていないので、通常盤の音が太い理由は別にあるのかもしれませんが、「ラム」にしろ「イマジン」にしろ、この時期だけこんなに音のいい日本盤が作られたのは興味深いことだと思います。他にも、「オールディズはAP盤になって音がよくなったとか」「原子心母はUK盤は音がこもっているが、日本盤は音がいい」といった未確認情報もあったりするので、この時期の東芝盤は、要注目なのかもしれません。

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