愛知杯 G3 2019 レース回顧
牝馬古馬のG3ということで、牡馬との混合のG3よりさらに格は落ちるわけで、出走馬の戦績を見ても、古馬オープンの戦績がいまひとつの馬が多かった。なので、素直に古馬オープンで近走の実績上位の馬と、勢いのある4歳馬を中心にピックアップして馬券検討するのがよいレースだったと思うのだが、今回は格下と思われる戦績の馬が意外に人気になっていた。そのため格的に上位と思われる馬で決着したわりには高配当になっていた。なので、今回はそういった観点で回顧してみたい。勝馬のワンブレスアウェイは今回明らかに人気がなさすぎた。
1.レース結果の基礎データ
中京芝2000m良
走破タイム:2:00.0 前4F-後4F:50.0-46.0 スローペース
12.9 - 11.4 - 12.9 - 12.8 - 12.2 - 11.8 - 11.7 - 11.8 - 11.2 - 11.3
馬場差 -1.1 完全タイム差 +1.6
タイムランク SL メンバーランク D
馬場差-1.1ということでかなり時計の速い馬場になっていた。ラップタイムは残り5ハロン目で早くも加速しきていて、残り200mでさらに加速する2段階加速となっていた。なので、早めに進出できてなおかつ、最後にもうひと伸びが必要な展開となった。
完全タイム差は+1.6ながら、このようにしっかりとした加速が必要なレースになったことで低レベルには分類されないのは妥当だと思う。
2.隊列分析
コーナーから早めに加速が始まったことで、直線入り口ではやや縦長の隊列になっている。そんな中で、外の後方から差してきたノームコアの末脚は上がり3ハロン33.5秒と最速で、このメンバーでは際立っていたということだと思う。
3.各馬の分析
1着 5番 ワンブレスアウェイ 津村 02:00.0
まずまずのスタートを決めて前から4番手のポジションを確保すると、残り800メートルから徐々に進出を始め、直線に入ってもジワジワ伸び続け、残り200mで外からノームコアが迫ってくるとさらに加速して、ランドネを捕らえて1着となった。
エリザベス女王杯では出遅れながら最後は末脚を発揮していたので、出遅れず先団につけれればこれだけやれる馬ということのようだ。この馬の戦績を見てもここ最近では出遅れて11着のエリザベス女王杯を除けば古馬オープンで3着、牝馬G3で2着の実績があるので、このメンバーの中では格が上の方と考え、馬券の対象として検討することは可能だったと思う。
2着 11番 ノームコア ルメール 02:00.1
スタートで躓いて後方からになるも、直線入り口では外の後方から直線だけで良く伸びて2着となった。
これだけすごい脚が使えるのになぜエリザベス女王杯では直線あまり伸びなかったのだろうと思ったので、エリザベス女王杯を見直しててみると、どうも外から前に前に取り付こうとしすぎて、そこで脚を使ってしまって直線まで脚が残らなかったようだ。なので、今回はむしろ躓いたことで、開き直って後方から追走したことが脚を貯めれる要因になったということなのかもしれない。ただ、この馬の過去の戦法は前段につけて好位差しを狙うパターンなので、もう一度その戦法を試すのか、今回の結果を受けて後方からの差しを狙うのかわからないので、まだ、あてにはしづらく、軸馬には向かないと思う。しかしながら、戦績を見るといかにも勢いのある4歳といった戦績なので、今後も馬券対象として検討すべき馬ではある。
3着 8番 ランドネ 戸崎圭 02:00.1
先頭に立って、コーナーから加速して後続に脚を使わせて直線で縦長の隊列を作ることができたが、最後は上位2頭に差されて3着となった。古馬戦では1600万条件勝ちの直後ではあったが、このメンバーと十分互角に戦える力は示した。戦績からも3歳重賞で戦ってきて古馬にも通用しているので、勢いのある4歳馬の戦績であると考えてよいと思う。
4着 9番 ウラヌスチャーム 北村友 02:00.2
前から5番手あたりを追走するも、直線ではややもたつき、残り200mでようやく加速して4着を確保した。
戦績を見ると上がり3ハロン最速で走っている経験の多い馬であるが、今回は早めに加速する展開の先団の位置にいたこともあって、末脚が少し鈍ったようである。
戦績を見るとオープンに上がるまでやや回数を要したので、4歳馬でもランドネ、ノームコアと比べるとやや勢いが劣るということだったのかもしれない。
5着 4番 コルコバード 丸山 02:00.2
中段の位置から最後まで良く伸びていて1着との着差0.2秒なので、善戦はしていた。堅実そうではあるが、こうしたタイプは今後4,5着が多くなりそうな気がしないでもない。
6着 1番 レッドジェノヴァ Mデムーロ 02:00.3
直線入り口では十分先頭を狙える位置にいながらジリジリとしか伸びず6着となった。この馬、古馬オープンの3着以内実績が京都大賞典の2着しかなく、それでいて京都大賞典は低レベルなレースだったので、実は実力はそう高くない可能性がある。今後も人気にはなりそうなので、嫌って妙味のある馬だと思う。
7着 2番 レイホーロマンス 藤岡康 02:00.5
スローペースであればかなりいい末脚をつかっていただけに、直線入り口で内のいい位置につけられたので、今回は連対できるかと思ったのだが、あまり伸びてこなかった。昨年の愛知杯2着した頃の状態がこの馬のピークだったのかもしれない。
8着 6番 レイズアベール 秋山 02:00.7
1000万条件を勝ったばかりでの参戦なので、このメンバーでは明らかに格下だった。なのに軽ハンデとはいえ単勝10.1倍は見込み違いだったと思う。
9着 13番 ウスベニノキミ 松若 02:00.7
こちらは1000万条件を勝てていないのでさらに格下。
10着 7番 スカーレットカラー 鮫島駿 02:00.9
こちらもまだ1600万条件馬なので格下。
11着 3番 ティーエスクライ 木幡育 02:01.1
こちらもまだ1600万条件馬なので格下。
12着 12番 エテルナミノル 四位 02:01.2
昨年の勝馬ながらその後の成績が悪すぎるので、突然復調するとはとても考えられない状況だったが、その通りの結果となった。
13着 10番 ヤマニンエルフィン 田中健 02:01.3
こちらもまだ1600万条件馬なので格下。
14着 14番 キンショーユキヒメ 吉田隼 02:01.7
こちらも昨年春の福島牝馬S勝ち以降の成績が悪すぎるので、突然復調するとはとても考えられない状況だったが、その通りの結果となった。
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