フェアリーS 2019 レース回顧
重賞ながら、新馬や未勝利戦をスローペースで勝った馬や500万条件戦でイマイチな成績な馬の集まった難解な一戦だったが、レース結果も完全タイム差+1.9のEランクと低調な一戦となった。そのため、このレースの出走馬から今後長く活躍しそうな馬はあまり期待できないので、ややあっさりとしたレース回顧としたい。
1.レース結果の基礎データ
中山芝1600m良
走破タイム:1:36.0 前4F-後4F:48.3-47.7 ミドルペース
12.4 - 11.8 - 11.9 - 12.2 - 12.4 - 12.2 - 11.5 - 11.6
馬場差 -0.6 完全タイム差 +1.9
タイムランク E メンバーランク C
前後半のタイム差こそ少ないものの、ラップタイムをみるとかなりゆっくりとした流れだったことがわかる。結局ペースアップしたのが、ラスト2ハロン目だったので、こうなると差し馬に有利な流れとなる。
2.隊列分析
直線入り口で大きく横に広がっているのはラスト4から3ハロン目のペースが緩いので差し馬が楽に直線で外に出すことができたということだと思う。もうこの時点で1着のフィリアプーラは外差しが決まるポジションを取ることができていた。
3.各馬の分析
1着 1番 フィリアプーラ 丸山 01:36.0
スタートはよかったものの、無理せず一旦最内の後方まで下がって脚を貯める。そのままずっと後方で我慢して残り600mの地点で追撃を開始し、4角の終わり地点で素早く反応して内から外に出して直線入り口隊列図のポジションを楽に取ってそのまま加速し続けて外から前の馬を差し切って1着となった。
前走が未勝利戦ながら完全タイム差-1.0のタイムランクAの好タイムで勝っていたので、注目していたが、外から差してくるタイプなので、今回1枠だったことから差し届かず4着となる結果を想像してしまい、この馬を軸にするのを躊躇してしまい、僕は結局このレースの馬券購入を見送ってしまった。今回の結果からあまり馬郡を捌けず外から差してくるタイプの馬と考えてよさそうだが、結局狙えるかどうかは、この馬自身というより、先行馬に強い馬がいるかどうかがこの馬の取捨の判断ポイントのように思う。このレースでは4角の反応がよく素早く内から外のいいポジションまで移動することができたが、それは、4角のペースが緩かったからできたわけで、先行馬が強くなれば4角からペースを引き上げてくるから、こうした芸当はできず、差し届かずという結果になる可能性は高いと思う。また、この馬は東京コースの新馬戦でスローペースで差し届かず3着になっているので、極端な瞬発力勝負は向いてなさそうだ。このように、この馬はハービンジャー産駒らしい特徴のはっきりした馬なので、今後狙いどころはわりとわかりやすいのではないかと考えられる。
2着 8番 ホウオウカトリーヌ 大野 01:36.0
こちらもスタートはよかったものの、一旦下げてフィリアプーラのすぐ前の外で、ずっと馬郡の中を折り合って追走する。4角でもスパートせず、自然体であまり大回りせずに直線に入り、直線でも加速を我慢して残り200mで末脚を爆発させて2着を確保した。
500万条件戦で1着と2着の実績があり、このメンバーでは明らかに実績上位ながら1600m戦の実績がないために8.9倍の4番人気にとどまったが、やはりこの馬のような実績上位な馬は相手候補としてよく検討すべきということなのだと思う。短距離を使ってきた馬が1600mで走るとスピードがあることから先行して単調なレースになることが多いが、この馬は単調にならずメリハリの効いた走りが出来ていたので色々な展開に対応できそうな器用さがあるように感じた。馬郡に怯まず折り合って、距離ロスが少なくコーナーが回れるのはかなり強みだと思う。ただ、今回残り200mで末脚を爆発させたように、いい脚は一瞬だけのようた。なので、今後、牝馬限定戦で内枠に入って乱ペースのレースになったとき、器用さが活きて内から差して穴をあけるなんてことがありそうな気がする。
3着 13番 グレイスアン 戸崎圭 01:36.1
あまりいいスタートではなかったが、他馬が速くないので二の足で楽に内から3頭分外の3番手の位置を確保その後ずっと3番手を追走し、直線に入って、少し伸びるも1,2着馬にはあっさり差されての3着だった。
先行勢の中では一番最後まで粘っていたことになる。ずっと3頭分外を回っていた距離ロスを考慮すると善戦したと考えてしまいがちだが、やはり4角でペースを引き上げられなかったのが引っかかる。戸崎騎手ならば4角でペースを上げなければ差し馬の餌食になることはわかっているはずなので、やはり末脚に自信がないので、4角でペースを引き上げるリスクは避け、ゆっくり直線に入って最後まで粘ってひとつでも着順を上に上げることを選択したのではないかと思う。なので、今回3着には入ったものの、強くない先行馬なんだと思う。スタートも速くなかったし、よりハイペース戦になる先行すらできなくなるかもしれない。
4着 3番 エフティイーリス 蛯名 01:36.2
スタートのタイミングあわず、ダッシュがつかず後方からになる。ホウオウカトリーヌよりも外の位置を追走し、4角ではフィリアプーラが外に出す際に少し外に膨れる形になり直線ではじわじわ加速するも4着までが精いっぱいだった。
トビが大きく加速も遅く器用さはなさそうなので、小回りコース向きの馬ではないと思う。まだ体質も弱いとのことなので、今後成長変わってくる可能性はあるかもしれない。
5着 11番 アクアミラビリス Mデムーロ 01:36.2
出遅れてすぐリカバーしようとするも、内から4頭分外をずっと折り合いを欠きながら追走する。直線に入って追い出すも速い脚は使えず5着に敗れた。
クイーンズリングの半妹でデムーロ騎手ということで1番人気だったが、前走も出負けしてややかかり気味になって、超スローペースの東京戦と今回のレースとは全く異なる状況で新馬戦を勝ち上がって、なおかつ出負けやかかる不安もあるということなので、やはりこうした良血馬で人気になりやすい馬は不安材料のある場合は疑った方がよいのではないかと思う。こうした馬が素質であっさり勝ってしまうケースも多いが、その場合は配当が安い場合が多いので、やはり疑って高配当を狙う方がよいと思う。
それにしても、終始距離ロスがあって効率の悪い位置取りでレースするのはデムーロ騎手の騎乗としては珍しい。それだけ、デムーロ騎手をしても制御が難しかったということだと思う。「初めての右回りで外に張っていましたし、ハミを噛んでいましたね。」ということでかなり気性の悪い面を見せていたようである。ただ、気性が成長してよくなればさらに走れそうな気配はあったので、しばらくは気性をチェックしながら薄めの相手候補として検討するのがよいと思う。
6着 5番 サンタンデール 木幡巧 01:36.2
短距離戦で使っていたスピードを活かして逃げることができたが、騎手のコメントによると、一応徐々にペースを上げることは考えていたようなので、それができる馬ではなかったようだ。ただ、差し馬の餌食になる展開ながら最後1着とは0.2秒差と意外に健闘していたので、どこかで穴をあけるチャンスはありそうだ。
7着 14番 レディードリー 柴田善 01:36.2
最後方追走から直線だけでなだれ込んできた感じであまり見所はなかったと思う。一応上がり3ハロン最速だが他の差し馬が外をまわる中わりと内をロスなく回れた分得しただけで、あまり速さは感じられなかった。
8着 12番 チビラーサン 田辺 01:36.2
出遅れて後方からになり、外からなだれ込んだだけの見所のない走りだった。
9着 4番 スカイシアター 横山武 01:36.2
最内で逃げ馬のすぐ後ろを追走するポジションを確保し、直線でも最内から抜け出しを図るもいい脚は使えず。最内を距離ロスなく走ってもこの程度ということなので、全く評価できない。
10着 2番 アゴベイ 北村宏 01:36.3
ダッシュつかず後方から、直線では一瞬伸びたようにも見えたが、Eランクの低レベルレースだけに他の馬と同じような脚色で直線なだれ込んだだけでは全く評価できない。
11着 9番 プリミエラムール 武藤 01:36.5
緩いペースを2番手で追走していながら最後はバッタリ止まったのでやはり弱い先行馬だと思う。
12着 10番 セントセシリア 中谷 01:36.6
アクアミラビリスのすぐ後ろを追走していて、本当はもっと内枠に入って内を追走したかったらしいが、この伸びなさ加減では内をロスなく立ち回っても勝負にならなかったと思う。。
13着 6番 レーヴドカナロア ブロンデル 01:36.8
最内の中段をロスなく追走できたものの、直線で全く伸なかった。
14着 7番 ウィンターリリー 菱田 01:36.8
こちらもわりと内を立ち回ったものの、直線では全く伸びなかった。
15着 15番 メイプルガーデン 丸田 01:37.3
後方外から、直線もずるずる下がっていくだけで見所無し。
16着 16番 アマーティ 三浦 01:43.8
4角で両側から挟まれて一瞬怯んだのが影響したかわからないが、レース後急性心不全のため死亡したとのこと。ご冥福をお祈りします。
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