2019 小倉大賞典 G3 レース回顧
先行したい馬が揃ったレースという前評判であったが、それと同時に、末脚があまりよくないメンバーが揃ったレースでもあった。前日の小倉の芝コースのレースではかなり差しが決まっていたので、このレースでは末脚が確かな馬を狙おうと思ったものの、そんな馬が見当たらず消去法でWin5の対象にスティッフェリオとエアアンセムの2頭を選び、馬券の軸にエアアンセムを選んだので馬券を外してしまった。結果はかなり低レベルレースで馬券検討が難しかったが、後述するが中山金杯組のレベルを少し下に見れば馬券的中に近づけたかもしれないと考えられ、レースレベルを評価する上で少しヒントが得られたレースだったようにも思えるので、しっかりレース回顧していきたい。
1.レース結果の基礎データ
2019年 2月17日(日) 1回小倉4日 天候: 晴 馬場状態: 良
11R 第53回小倉大賞典
4歳以上・オープン・G3(ハンデ) (国際) 芝 1800m 14頭立
LAP :12.2-11.1-12.3-12.0-11.8-11.9-11.7-11.6-12.1
通過:35.6-47.6-59.4-71.3 上り:71.1-59.1-47.3-35.4 ミドルペース
馬場差 ±0 完全タイム差 +1.7
タイムランク E メンバーランク D
サイモンラムセスが飛ばしたため、速いペースに見えたが、実はさほど速いペースではなかった。2番手以降はかなり離れていたので実質はスローペースに近い。それでいて、最後あまり伸びていないので、やはり末脚イマイチな馬同士であまり前半ペースが上がらなかったことから低レベルの凡戦になったと思う。
2.完全タイム差検証
前走の比較で見ると、前走よりパフォーマンスを大きく落としているように見える馬が多く、一見「このレースは過少評価か?」と思ってしまうが、2着のサイモンラムセスは恵まれただけで強いレースをしていないので、これ以上完全タイム差を上げてしまうとサイモンラムセスが過大評価になってしまうので、この評価は妥当のように思える。それで、中山金杯、福島記念での各馬の完全タイム差を前走や次走と比較してみると、どうも中山金杯、福島記念の完全タイム差が過大評価なんじゃないかと考えられる。実際、先週の京都記念に出走したステイフーリッシュとタイムフライヤーも大きく完全タイム差をダウンさせている。中山金杯、福島記念の完全タイム差が過大評価とすれば、他の馬の前走の完全タイム差の差は大差ないところに落ち着く。
福島記念はタイムランクCで中山金杯はタイムランクDなので、好時計のレースでなくても完全タイム差が過大評価になっているレースがあるというのは僕にとって新たな発見であり、レースレベルを正しく評価するにあたって大きなヒントを得たような気がする。また、このことから、来週の中山記念に出走予定のウインブライトの評価を少し落とした方がよいように思う。
3.隊列分析
そう速くないペースなのに直線入り口で縦長になっていることからも低レベルレースであることを現している。末脚がよくない馬ばかりなので、この時点で後方にいては絶望的ということである。
4.各馬の分析
1着 12番 スティッフェリオ 丸山元気 1.46.7 34.2
好スタートから4番手を追走し、4コーナー入り口で加速したときは騎手の手が激しく動くくらい反応が鈍かったが、加速がついてからは、1頭だけいい末脚を発揮して先行勢を差し切り1着となった。
1頭だけいい末脚だったので目立ったが、他の馬が大したことなかったので、目立っただけと見る。休み明けで加速の反応が鈍かったこともあるし、福島記念から斤量が2キロ増だったので、福島記念よりかはパフォーマンスをダウンさせたとみるのが妥当だと思う。しかしながら、ミドルペースでも先団につけることができてそれでいて最後にひと脚使えるのは強力な武器であり、今回休み明けだったことを考慮すると、好調を維持できるようなローテーションであればさらなるパフォーマンスアップを期待できるので、今後もメンバーの弱い重賞であれば注目すべき存在だと思う。最近はG2でもメンバーが弱いときがあるので通用する可能性はあると思うが、さすがにG1では好走は難しいのではないかと思う。
2着 3番 タニノフランケル 川田将雅 1.46.7 34.5
好スタートから内枠を活かして楽に2番手の位置を取り、逃げ馬が後続をやや離した逃げを打ったたため、スローで逃げているのと同じような状況となり、最後の直線でサイモンラムセスを捕らえるもスティッフェリオに差されて2着となった。
前走の内田騎手のレース後コメントで「囲まれなければハナを切らなくても大丈夫だと思う。」と言っていたが、その通り囲まれない形で2番手を進むことで好走することができた。この馬ダンビュライトと同じようなタイプで一本調子で走る馬なので先手を取って粘り込む戦法しかないのだが、川田騎手の絶妙なペース配分がよかったとはいえ、内枠であったことと、末脚がよい馬がいなかったことと、揉まれる展開にならなかったことで恵まれた面は大きかったと思う。前走の中山金杯もめぐまれた面が大きく、マウントゴールドと同じように2走続けて恵まれた。この馬超良血馬のため人気になりやすいので、次走も枠順と相手関係をよく見る必要があるが基本は疑った方がよいと思う。
3着 1番 サイモンラムセス 小牧太 1.46.9 35.6
好スタートから最内枠を活かしてハナを取り1,2コーナーで減速することなく走り後続との差を広げその後も減速しないことで最後の直線入り口を後続から3馬身ほど離して迎えることに成功し、直線では減速するも3着に粘り切った。
3着に粘り切れたのは後続馬の末脚が大したことなかったことに尽きる。決してこの馬がすごいパフォーマンスをしたというわけではない。最内枠で能力の劣る先行馬が距離ロスなく走れる利点を活かして3着以内に入ることは大穴馬券となる典型的なパターンでわりとよくあるので、今回のような末脚が劣る馬が多い組み合わせのレースでは特に警戒すべきだった。ただし、マルターズアポジーが先手を取れないと考えるのは難しかったことから、この馬が楽に先手を取れると考えることも難しかった。
4着 11番 ナイトオブナイツ 古川吉洋 1.47.0 34.0
スタートは遅く後方からになるが、ずっとインを器用に立ち回り、最後は後方からインを鋭く伸びて4着となった。
後方から差し込んでこれたのはこの馬だけだったので、ちょっと目だったが、何度も言うように末脚のよくないメンバーであったから目立っただけで、さらに最内をロスなく通れたことが大きかったと思う。
この馬近走はいい末脚を発揮しているが、前半のスピードが極端に遅いのが弱点となる。オープン特別で勝った巴賞のときは、前半が極端に遅いペースだったので先行することできて、勝てたものであった。そのため、今後も4.5着に善戦することは多いと思われるが、3着以内に入るには前半が遅いペースで、他に末脚の鋭いメンバーがいない時と、かなり恵まれた条件になる必要があると思われる。
5着 2番 エアアンセム 吉田隼人 1.47.0 34.5
まずまずのスタートから、最内で4番手と絶好のポジションで追走することができたが、最後は伸びあぐねて5着となった。
中山金杯と違って先行することができたので、これは3着以内に入ると思ってレースを見ていたが、最後の直線で伸びあぐねたのは失望させられた。特に不利はなく、もう8歳で衰えもあると思うので、これがこの馬の現時点の実力なんだと思う。中山金杯のパフォーマンスを少し低く見るべきということにレース前に気付いていれば、少なくとも軸馬はスティッフェリオしかありえないという考えに及ぶことができたのにと考えるととても残念だ。
6着 4番 マウントゴールド 浜中俊 1.47.0 34.4
スタートはあまり速くなかったものの内枠の利を活かして内目の6番枠を追走することができたが、4コーナーの勝負所では追い出してもさほど反応できず後退するかに思われたが、直線で再度盛り返して6着になった。
前走のレース回顧で書いた通り、この馬はスローペースで楽に先行できてかつ瞬発力に優れた馬がいないときでないと狙えないという見立てが正しかったことを証明する走りをしてくれたと思う。最後の直線でちょっと伸びたように見えたのも末脚のいいメンバーがいないことに恵まれてのことだと思うし、前半あまり速くないのに中段の位置を取れたのは枠順に恵まれていた。それでいてタイムランクEのレースでこの着順だからこの馬はかなり弱いということである。
7着 7番 ブラックスピネル 三浦皇成 1.47.0 34.7
好スタートからタニノフランケルのすぐ後ろの3番手につけることができたが、最後の直線ではまったく伸びず7着に沈んだ。
この馬近走では先行しているものの、末脚が酷い状態が続いてる。今回も、この馬の位置取りではスローペースのバランスにも拘わらず全く伸びないので、もう重賞で通用する末脚はないと考えてよいと思う。前走、先行して1着になった白富士Sは相当恵まれてのものだったと考えてよいだろう。
8着 5番 レトロロック 松若風馬 1.47.2 34.4
あまり速くないスタートながら、内をうまく立ち回り、エアアンセムから一馬身離れたくらいの最内の中段を追走するが、4角から追い出してもさほど伸びず8着に沈んだ。
この馬は小倉での好走実績があることから穴人気になっていたが、実績があるといっても下級条件での話であり、重賞ではまったく通用しないことを示した結果となった。
9着 9番 スズカディープ 岩崎翼 1.47.3 34.0
スタートが遅く後方から、最後は良く伸びたが、前半の位置取りが悪すぎ9着。
このメンバーであれば、末脚は悪くないと思って穴馬として注目していた。しかし、上がり3ハロンタイムだけでみると、ナイトオブナイツと同タイムの最速であったが、やはり前半の位置取りが悪すぎるので、勝負にはならなかった。
10着 8番 マイスタイル 田中勝春 1.47.3 34.5
スタートから、他の先行馬にはスピード負けし、5番手を追走し、勝負所では全く伸びず10着に敗れた。
やはり、この馬はアテにできない。あまり速くなくても先行力のある馬が数頭揃ってしまうと、気分よく先行することができずに、凡走するということなのだと思う。さらにこの馬の戦績を見ると、福島記念の完全タイム差を前述のとおり割り引くとすると、この馬は古馬重賞を走った時は完全タイム差+2秒前後のパフォーマンスしかだせていないということがわかる。つまり、この馬はそもそも弱いと考えられるわけで、弱いメンバーでかつ、先行する馬が少なく気分よく先行出来そうなときと、狙える条件がすごく狭い馬ということなんだと思う。
11着 10番 ケイティクレバー 秋山真一 1.47.4 34.4
外外を回らされて実力が発揮出来なかったと騎手のコメントにあるが、1600万を勝ったばかりの馬で、下級条件では先行できていたのが、オープンになって全く先行できなかったので、クラスの壁にぶつかって先行できずいいところが発揮できなかったということだと思う。
12着 13番 エテルナミノル 松田大作 1.47.6 34.6
特に見所無しの評価でよいと思う。
13着 6番 マルターズアポジー 柴田善臣 1.47.9 34.4
やや出遅れて、全くリカバーする気なく後方を追走した。前走の福永騎手のコメントで「駐立が悪く、スタートが良くなかったのですが、二の脚は速かったですね。」とあるようにスタートが良くない傾向にあることが伺えたが、今回二の脚をあえて使わなかったのは意図的だったと思う。というのも、この馬はもう逃げても最後まで持たないレースが続いていて前走などは後続に全く警戒されていなかったので、もう逃げることは限界だということを陣営は悟ったんだと思う。最後方から進んだことで、なんと4番目に速い上がり3ハロンタイムを出すことができた。が、それも何度も書くように末脚のよくないメンバーだったとうことからで全く評価できない。マルターズアポジーが出走したらハイペースになると単純に考えられた時代は完全に終わったということ。
14着 14番 アメリカズカップ 幸英明 1.48.1 35.4
かなり馬場が荒れてかなり時計がかかる場合でないと好走出来ない馬なので、この馬のレースぶりについてコメントすることは何もない。
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