2019 中山牝馬ステークス G3 レース回顧
重賞レースを予想するにあたって、僕の過去の記事がかなり参考にできるようになってきた。ただ、僕の過去の記事でフロンティアクイーンを今回本命にできることが書けていたと思うものの、ウラヌスチャームについては考察が足りなかったという反省点もある。なので、今後さらに回顧記事の質を高めるべく、しっかり回顧していきたいと思う。
1.レース結果の基礎データ
2019年 3月 9日(土) 2回中山5日 天候: 晴 馬場状態: 良
11R 第37回ローレル競馬場賞中山牝馬S
4歳以上・オープン・G3(ハンデ) (牝)(国際)[指定] 芝 1800m 14頭立
馬場差 -0.3 完全タイム差 +1.5
タイムランク E メンバーランク C
LAP :12.5-11.6-11.9-12.3-11.5-12.4-12.2-11.4-11.9
通過:36.0-48.3-59.8-72.2 上り:71.7-59.4-47.9-35.5 ミドルペース
ラップタイムを見ると、前半から中盤がかなり緩急の差が大きく、それでいてラスト2ハロンでの瞬発力が問われる展開となったので、かなり激しいレースだったように思う。
2.隊列分析
残り600mであまりペースアップしなかったため、後方から外を回って追い上げる馬も先頭からあまり離されない位置で直線入り口を迎えることができた。そのため、外を回って確実に末脚を使った馬の上位争いとなったが、上位9頭が勝馬から0.3秒差しか離されていないハンデ戦らしい大激戦となった。
3.完全タイム差検証
多くの馬が前走から1秒以上パフォーマンスをダウンさせているといった不自然な状態になっている。勝ったフロンテアクイーンが前走から1秒パフォーマンスを落としても勝てるくらい弱いメンバーとは言えないメンバーが揃ったレースだったので、この完全タイム差は明らかに過少評価だ。多分緩急が激しかった分、全体の走破タイムがかかったということだと思う。時計が遅く低レベルと判断されたレースの中に過少評価のものがあるというのは、僕にとって今回新たな発見だった。このレースの完全タイム差を鵜呑みにするとこのレースの出走馬の次走の評価を誤るので、ここはしっかりと補正して考える必要がある。走破タイムとレースのレベルの関係性を考えるにあたって、大きなヒントを得られたかもしれない。
4.各馬の分析
1着 7番 フロンテアクイーン 三浦皇成 1.47.7 35.0
まずまずのスタートから、他馬が速かったこともあり中段の位置になるも、しっかりと内目のポジションで追走する。ペースの上がった5ハロン目ではやや後退気味になるも、その後ペースが緩んだところでしっかりと追いあげてきて、直線入り口では先頭のすぐ後ろの位置まで押し上げて、その後しっかりと末脚を使って1着となった。
この馬の前走は、前半にかなり脚を使って、それでいて逃げ馬を終始つついていながらも、先行した馬の中では一番の粘りを見せて先頭から0.2秒差の4着といった強いレースをしたので、今回は先行する馬が多いことから先行勢のすぐ後ろにつけて最後は先行勢がバテる中前に出て1着になるのではと僕は予想したのだが、展開は予想とはちょっと違ったもののしっかりと勝ち切ってくれた。
今回は前半に脚を使いすぎずじっくりと行ったことと、勝負所であまりペースアップしなかったことで楽に先団に取り付けたことがよかったようだ。エリザベス女王杯では勝負所でもたついたようなので、今回のような位置取りだと勝負所でのペースアップが大きい場合には取りこぼすケースがありそう。早めに先頭に立って粘るのが持ち味の馬なので、いいポジションで先行できそうかどうかが今後の予想のポイントになると思う。
2着 9番 ウラヌスチャーム ミナリク 1.47.7 34.6
スタートは速くなく後方から2番手の位置になる。勝負所でペースアップしなかったことを利してしっかりと上がって行って、直線では上がり3ハロンタイム最速となる速い末脚を使って2着となった。
前走は位置を取りにいった分、反応が鈍くなったということで、今回はその反省を活かして前半じっくり脚を貯めたことが功を奏した。ただ、この馬はエンジンのかかりが遅いので、勝負所でペースアップしなかったことに恵まれた感はある。
前走はオープン昇級初戦で負けたので僕はこの馬は古馬重賞では通用しないのかと思って最初は切るつもりでいたものの、この日の中山9Rで昇級初戦で負けた馬が巻き返して勝ったいたので、それで思い直してこの馬とフロンテアクイーンの馬連を押さえたことで馬券を少しだけ的中させることができた。この週だけ見ても、昇級初戦で負けた馬が次走で好走するといったケースはかなりあるし、Win5対象レースで穴馬が勝つケースの中でもこのパターンはかなりあるので、昇級初戦で負けた馬の中で次走好走する可能性があるのはどういうケースかを研究することは今後の馬券作戦にかなり有効ではないかと思う。
3着 4番 アッフィラート 武藤雅 1.47.7 35.0
まずまずのスタートから、内の中段の位置を狙うも1コーナーあたりでついていけず後ろから5頭目の位置を追走する。残り800mの地点から、フロンテアクイーンの外のすぐ後ろの位置でフロンテアクイーンと同じような脚色で追い上げるが、4角から直線入り口のところで少しついていけなくなる。それでも、懸命に追い続け3着を確保した。
1600万条件馬で格下ということで軽視してしまったが、牝馬重賞なので混合戦と比べるとレベルは劣るわけで、さらにこの馬は1600万条件戦でこのところ好走していて、それでいて前走より4キロ軽いハンデだったということを考えれば、3着候補として検討すべきだったと反省させられた。今後は格下馬でも近走好走していて軽ハンデの場合は警戒すべきとの教訓を得た。
この馬はこのレースで引退とのこと
4着 10番 デンコウアンジュ 蛯名正義 1.47.8 34.8
スタートはまずまずなものの、行く気なく後方から3番手を追走。4角の勝負所ではあまり上がって行かず大外を回り直線だけで伸びて4着となった。
5ハロン目でペースが上がってところで、馬が行きたがっているのを騎手が押さえていた場面があり、そこで少し緩めたことで勝負所であまり加速できなかったように見えたので、休み明けで本調子になかったというよりは、緩急あるペースに翻弄されて力を出し切れなかったように見えた。それでも最後は末脚を使えたので、まだまだこの馬の能力は健在で、どこかで3着以内に入る可能性はまだ十分あると思う。
5着 11番 フローレスマジック 石橋脩 1.47.8 35.3
好スタートから果敢に先行争いに加わるも1コーナーではかなり外を回らされる。5ハロン目でペースアップしたところから徐々に5番手から前に進出を始め直線では一旦先頭に立ったものの、最後はバテて5着となった。
800m以上のロングスパートとなったのでさすがにこれではバテる。また、1角から終始外を回る距離ロスがあったことも不運だったように思える。
ただ、この馬スタートに難があるだけに、今後もスタートの不安はあると思う。また、このクラスでは切れる脚はなさそうなので、今回のようなロングスパートする戦法しかないと思われるので、活躍できそうなレースの幅は狭そうだ。
6着 5番 クロコスミア 岩田康誠 1.47.8 35.0
好スタートから先行争いに加わるも回りが速いので、最内でカワキタエンカのすぐ後ろの位置を狙うも、徐々に後方に下がり、5ハロン目のペースアップにはついていかなかったため、中段まで下がる。4角の勝負所でもペースは上げずインの距離得を活かして少しづつ前に進出し、直線では一瞬伸びるもいい脚は長く続かず6着に敗れた。
前半速い馬が多かったため先行するのを諦めた形となった。道中貯めた分、直線では少しは伸びたものの、いい脚は長くは続かないことがわかった。やはり、この馬が好走する条件は気分よく先行できる場合に限られるということだと思う。
7着 2番 ノームコア 田辺裕信 1.47.9 34.9
まずまずのスタートから内枠を活かして好位を取りに行くも他の馬が速く後方から4番手の位置になる。5ハロン目のペースアップにはついて行こうとしてしまったため、ここで無駄な脚を使ったためか4角の勝負どころではズルズルさがって、最内ながら最後方の位置まで下がってしまう。直線では前が壁になりなかなか追えず、ラスト1ハロンでようやく伸びるも時すでに遅しで7着となる。
終始チグハグなレースとなってしまった。やはり残り5ハロンでのペースアップが明暗を分けておりここで無駄な脚を使ってしまい、ペースの緩い勝負所で進出できなかったのは痛かった。
この馬は緩急のあるペースには対応できないということなのだと思う。スローペースで、長い直線を活かして後方から追い上げるようなレースでないと狙いにくい馬のようで、今回一番人気になったが、軸馬には向かないタイプの馬だと思う。
8着 8番 レイホーロマンス 内田博幸 1.47.9 34.6
速いペースについていけず最後方から、5ハロン目のペースアップ時にもペースを変えなかったこともあって、4角の勝負所からペースアップして、外を回るもいい脚を長く使い8着となった。
8着とはいえ、先頭から0.2秒差しかなくもう少し直線が長ければもう少し上の着順に行けそうな走りだった。この馬は追い込み馬ながら、スローペースでないと末脚が使えない馬で、今回は5ハロン目のぺースアップで反応しなかったことからこの馬自身としてはスローペースのバランスで走れたので最後いい脚が使えたと思う。この馬、最近は軽ハンデでもあまりいい末脚が使えていなかったので、今回末脚が使えたのはいい兆候だと思う。今後、軽ハンデで、メンバーが今回より弱くスローペースが見込めるレースに出走したら、狙ってみるのもいいかもしれない。今回時計が平凡で着順が8着だから人気はかなり下がると思うので、もし連に絡んだら超大穴が期待できる。
9着 12番 ウインファビラス 松岡正海 1.48.0 35.3
果敢に先行争いに加わるも、5ハロン目のペースアップ時には少し抑えたので、1着から0.3秒差の9着となった。が、この馬このレースで引退ということで、レースぶりや過去の戦績についてとくに目立ったところはないので、特にコメントすることはない。
10着 1番 アドマイヤリード 横山典弘 1.48.1 35.2
まずまずのスタートから内枠を活かして好位を取りに行くも他の馬が速く、最内のポジションでみると3列目ながら、中段の位置まで下がる、その後前へ進出を狙ったよう見えたが、ペースの緩急に翻弄されてなかなか前に取り付けない状況となる。4角の勝負所ではしっかりペースアップするものの、内を突くポジションには進路がなく直線では外を回し追い込もうとするもいい脚は使えず10着に敗れる。
やはり、インをロスなく立ち回れなかったことに尽きると思う。先行馬が多く乱ペースとなるレースでは厳しかったということだと思う。
11着 14番 ワンブレスアウェイ 津村明秀 1.48.8 36.5
スタートは速くないものの、先団に取り付こうとする意識が強く大外で距離ロスがあるにも関わらず、先行集団に加わる。4ハロン目ではややペースが落ちたことから一気に押し上げ前から2番手の位置まで上がりカワキタエンカつつく形となり、このことで5ハロン目のペースアップを誘発した形となった。こうしたかなり強引に先手を狙うレースをしたため、最後は止まって11着に敗れた。
とにかく前へ前への意識が強い馬であり、過去の戦績からはスローペースでは好走できるが、ハイペースや乱ペースでは最後まで脚がもたないことが明らかになっている。
12着 3番 カワキタエンカ 池添謙一 1.49.0 36.8
3番枠だったこともあって、逃げることができたが、ワンブレスアウェイにつつかれたりと、厳しい展開になったことは確かだが、もう5戦続けて凡走しているので、しばらく軽視でよいと思う。
13着 6番 ランドネ 戸崎圭太 1.49.0 36.5
比較的内側の枠を利して、最内2番手の位置を確保したが、外の後続馬が勝負所で前に取り付こうとする展開に翻弄され、4角では最内で一旦脚を貯めようとするも、直線ではいい脚は使えなかった。
やはり、この馬は気分よく逃げないとだめそう。
14着 13番 ミッキーチャーム 川田将雅 1.49.2 36.8
好スタートから先行争いに加わろうとするも、外枠だったこともあり、前から5番目の位置になる。直線でも前に伸びることなく、14着に敗れた。
この馬も、逃げないとだめそう。あと、長距離輸送でテンションが上がってしまったことも敗因に挙げられそう。ただ、この馬秋華賞でアーモンドアイから差のわずかの2着があったことで2番人気になっていたが、そもそも秋華賞は3歳牝馬限定戦であり、この時のアーモンドアイが急仕上げで本調子ではなかったことから今回は過剰人気だったと思う。
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