2019 NHKマイルカップ G1 レース回顧
このレースで僕はグランアレグリアが危険な人気馬であり、カテドラルが3着以内に入りそうというところまでは、予想できたものの、それでも馬券は当たらなかったので改めて競馬予想の難しさを思い知らされるレースとなった。
1.レース結果の基礎データ
2019年 5月 5日(祝) 2回東京6日 天候: 晴 馬場状態: 良
11R 第24回NHKマイルカップ
3歳・オープン・G1(定量) (牡・牝)(国際)(指定) 芝 1600m 18頭立
馬場差 -1.4 完全タイム差 ±0
タイムランク C メンバーランク C
LAP :12.0-10.4-11.5-11.9-12.0-11.3-11.3-12.0
通過:33.9-45.8-57.8-69.1 上り:70.0-58.5-46.6-34.6 ミドルペース
やや速く、淀みのないペースとなり、残り600mから加速し、ラスト1ハロンでは減速する、末脚の持続力勝負となった。そして、前日雹や豪雨が降ったものの馬場は高速馬場に回復した。
2.隊列分析
直線入り口ではやや縦に長く、かつやや外に進路を取る馬が多い隊列となった。この日は馬場の回復が内よりも外の方が早かったため、このような隊列になったようだ。
3.完全タイム差検証
皐月賞、桜花賞の出走馬が大きくパフォーマンスを落としているように見えるので、このことからも、皐月賞、桜花賞の完全タイム差が過剰評価だったことがよくわかる。基準タイム作成委員の人はアドマイヤマーズが皐月賞から1.5秒もパフォーマンスを落としてNHKマイルを優勝したと本気で考えているのだろうか?それ以外でみると、ケイデンスコールが大きくパフォーマンスをアップさせたのは納得できるので、このレースの完全タイム差はほぼ妥当と考えてよさそうに思える。
4.各馬の分析
1着 17番 アドマイヤマーズ M.デムーロ 1.32.4 33.9
出遅れたが、二の脚の速さで中段まで押し上げる。向こう正面から4角までは無理せずに中段の位置をキープ。4角の勝負所から押し上げ、残り400~300m地点ではやや苦しそうになったが、その後再加速して一気に先頭に立ち1着となった。
直線で再加速できるのがこの馬の強みであり、今回のレースのように接戦になればかなり強さを発揮する。今回は皐月賞の上位3頭ほどに強い馬がいなかったということだと思う。皐月賞の結果から、僕はアドマイヤマーズの実力を少し下に見てしまったのだが、今回の結果からやはり皐月賞の上位3頭の実力は相当高かったということなのだろうと思う。
2着 18番 ケイデンスコール 石橋脩 1.32.5 33.6
スタートはよかったものの、全く行く気を見せず後方でじっくり脚を貯める。4角では大外回して残り400mからようやく鞭を入れて伸び続け2着に浮上した。
末脚がすごかったというより、ラップタイムからわかるようにL1Fで他馬がバテたのに乗じて2着に浮上したという印象が強い。大外回したのは外が伸びるレースがこの日多かったことから、外枠ということもあり予め騎手が考えていた戦法のようだ。
この馬の戦績を見ると、朝日杯FS以外の5戦はすべて33秒台でかつ最速の上がり3ハロンタイムで走っているので、後から考えるとこの馬が2着に入ったことは不思議ではない。
朝日杯FSの回顧でも書いたが、この時は夏の新潟2歳S勝ちからのぶっつけであり、秋に手薄なメンバーの2歳重賞が沢山組まれているのに出走できず朝日杯FSに向かったのはよっぽど調子が悪かったということだったのだろう。僕の毎日杯のレース回顧では、この馬に復調の兆しがあったことを書いているのに、今回ノーマークにしてしまったことは痛恨のミスだった。
3着 10番 カテドラル アヴドゥ 1.32.5 33.7
行く気なく後方から、ちょっとだけ押し上げやや内側で前から12頭目くらいの位置で追走する。直線残り450mあたりから追い出しはじめ最後までしっかり伸びて3着を確保した。
長くいい脚を使えていたが、L1Fの末脚の性能はケイデンスコールに少しだけ劣ったということだと思う。
僕がこの馬に注目したのは、前走のアーリントンカップで出遅れたのが幸いして、今までにない後方から追い込む競馬で好走していたので、これで新戦法に開眼したと考えたからなのだが、そのとおりに今回も後方から上手く追い込むことができた。前半で前が飛ばす展開に恵まれた感はあるが、末脚勝負の戦法でいけば今後も3着以内に入って活躍する可能性はありそうだ。
5着 7番 グランアレグリア ルメール 1.32.7 34.3
スタートはあまり良くなかったが前半のうちに4番手に押し上げる。直線に入って大きく外にヨレてしまったものの、最後は他馬がバテル中でもしっかり伸びて4番目に入選したが、ヨレた際にダノンチェイサーを妨害したということで5着に降着になった。
朝日杯FSで見せた気の弱さを桜花賞では克服したわけではないと僕は桜花賞のレース回顧で書いたが、そのとおりに今回は混戦になったことで気の弱さを見せてしまった。直線で大きく外によれたシーンの映像をパトロール映像も含めよく見ると、前にいた馬と馬の間には十分に抜け出せるだけのスペースがあったのに、ここをまっすぐ突き抜けるのを拒否して大きく外にヨレてしまったのは、かなり臆病で気が弱いということなのだと思う。牝馬なのでこうした弱点は克服するのは難しいと思う。今後も、桜花賞のように他馬と接戦にならないようなレースになれば強い勝ち方をすると思うが、接戦になりそうなレース特に牡馬と混合で多頭数のレースは今後も苦戦すると思う。
4着 3番 ダノンチェイサー 川田将雅 1.32.7 34.2
スタート速く、内目で先行しようとするも前の3頭が飛ばしたため、そこからちょっと離れた5,6番手を追走し4角ではやや外を回ってグランアレグリアにぶつけられる不利を受けながらもしぶとく粘って5番目に入選するも降着により4着となった。
前の好位につけて最後まで粘り切るスタイルの馬なので、前半で少し離されてしまったことと4角で追い上げるときに外を回らざるを得なかったことが少しこの馬にとってロスとなった。今回よりもっと緩いペースになりしっかり前の位置を取ってコーナーをロスなく回れることが、今後もこの馬の好走条件になると思う。
6着 8番 ヴァルディゼール 北村友一 1.32.8 34.0
スタートはよかったものの、前が速すぎて中段からになる。直線に入っても後方からなかなか伸びず、最後だけちょっと伸びた。
この馬の過去の戦績のラップタイムを見るとよくわかるが、この馬は200mを11秒台前半で走るような速い脚はつかえないようだ。直線ズブイように見えたものの、実はこの馬なりにトップスピードに乗っていたということで、最後他馬がバテてもこの馬自身のトップスピードは持続で来ていたということだと思う。勝ったシンザン記念は時計のかかる馬場だったので、今後も時計のかかる馬場になれば見違えるのような走りをする可能性はあると思う。
7着 14番 ハッピーアワー 吉田隼人 1.32.8 33.7
この馬も後方待機で外から伸びてきたが、前半の位置取りが後ろすぎた。前半の基礎スピードに難がありそう。ただ、まだトモが甘いために頭が浮くような走りになるということなので、完成されてくればもう少しやれるかもしれない。
8着 16番 トオヤリトセイト 福永祐一 1.32.8 34.5
今まではスタートがよくなかったのが、今回はスタートを決めて中段の位置につけたが、追い出して最後までいい脚を続けることができずにゴール直前にどっと交わされての8着。
この馬、いい脚はあまり長く続かないようだ。
9着 12番 ワイドファラオ 内田博幸 1.32.8 34.6
速いペースで先行し最後は交わされたが、最後まで粘れていてニュージーランドT勝ちの実力は見せた。好走するにはニュージーランドTみたいにもっとペースが遅くなる必要がありそう。
10着 6番 グルーヴィット レーン 1.32.9 34.3
中段からあまり伸びず。この馬も時計のかかる馬場の方がよさそう。
11着 5番 マイネルフラップ 松岡正海 1.32.9 34.3
時計のかかる馬場にしか実績がないだけに、高速馬場に回復してしまっては出番は全くなかった。
12着 2番 プールヴィル 秋山真一 1.33.0 34.9
3番手先行するも最後は特に見所なく、このメンバーでは能力的に明らかに劣った。
13着 13番 ファンタジスト 武豊 1.33.3 34.6
特にいところなく、超スローにでもならない限り、速い末脚は使えなさそう。
14着 1番 クリノガウディー 藤岡佑介 1.33.5 35.5
いいところなく、ここでは力が足りない。
15着 15番 ヴィッテルスバッハ 戸崎圭太 1.33.7 34.8
後方から最内をロスなく立ち回ったが、まるで伸びず。ニュージランドTで外からいい脚を使っているように見えたので穴人気になっていたが、戦績を見ると、この馬はスローペースのレースならないと速い末脚は使えないようだ。
16着 4番 イベリス 浜中俊 1.33.8 36.0
逃げれたが、まるで粘れず。
17着 9番 ミッキーブラック 岩田康誠 1.33.8 34.4
見所無し。
18着 11番 ロードグラディオ 大野拓弥 1.34.2 35.2
見所無し。
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