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2020年11月10日 (火)

完全タイム差を検証する表について説明します。

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重賞レース回顧の記事で使っている「完全タイム差を検証する表」について説明します。

約2年前の記事で、

「先週の結果分析」のタイムランクA B には怪しいものと信頼できるものがある。

を書いたが、この考えに到達することによって、僕はタイムランクA,B相当で走った馬が次走凡走するケースに合点がいくようになった。ペース補正はスローペースだけでなく時計が速いレースでも必要だということだと思う。時計が速いレースでなぜ補正が必要か、全てのケースを説明しきれるほどの実力は僕にはまだないのだが、ひとつ確実に言えるのは緩急なく、速いラップを刻み続けるレースではギアの上げ下げがない分弱い馬でも惰性で速いタイムが出るということは確かだと思う。そうした補正が必要な場面に対応できないのが、スピード指数の限界であり、それを補うのが、各馬の前走のパフォーマンスと比較して妥当と思われる値を探る方式で、これはアンドリュー・ベイヤーが広めたスピード指数とJRAハンデキャッパーがやっているクラシフィケーションをミックスした考え方で、これがレースのレベルを定量的に表す方法として最も妥当性のある方法だと僕は考えている。このときに妥当な値を探るのに使用しているのが、「完全タイム差を検証する表」となる。以下に今年の菊花賞で使用した表を使ってこの表の内容を説明する。

2020111002

表の①~⑦の列について以下に記す。

①完全タイム差

 グリーンチャンネルの番組「先週の結果分析」で発表されている完全タイム差の値を出走各馬に当てはめた値となる。

②前走の完全タイム差

 出走各馬の前走の完全タイム差の値で、これは番組発表の値でなく、僕が補正済の値を使用している。

③前走クラス差

 菊花賞は3歳G1のレースなので、3歳G2,G3のレースの基準タイムはそれより低い値が使用されていて、2勝クラス、1勝クラスではさらに低い値になる。また、古馬重賞だとレベルの高い値になる。そのため、前走と比較するにはクラスによるレベル差を補正する必要がある。

④前走とのタイム差

 ①の値を②③を使って比較したものが、前走とのタイム差になる。完全タイム差が過大評価されていると出走馬で着順が悪い馬でも前走より高い完全タイム差になってしまう。菊花賞だと15着の馬まで前走よりパフォーマンスアップしているように見えてしまうので、これは明らかに過大評価と考えるのが自然だ。

⑤補正値

 完全タイム差をどの程度補正すべきかをこのセルで設定する。この値を上下させながら妥当な値を探る。

⑥真完全タイム差

 完全タイム差を⑤の値で補正したものになる。

⑦前走とのタイム差

 完全タイム差を補正した真完全タイム差と前走の値を改めて比較しているのがこの列になる。菊花賞は興味深いことに、どう補正しても、ある着順までは、上位馬はパフォーマンスアップしていて、下位馬はパフォーマンスをダウンさせている設定になる。この補正をどの程度に設定すべきが、実はまだ議論の余地が十分あると思っている。が、僕には菊花賞をギリギリで勝ったコントレイルが神戸新聞杯より2.5秒もパフォーマンスアップさせたとは到底思えない。

こうして、完全タイム差を出走各馬の前走のパフォーマンスと比較してみることで、より定量的に妥当性のある値を導くことができる。しかしながら、競走馬は常に一定のパフォーマンスで走るのではなく、調子やコース設定、展開によって激しくパフォーマンスをアップ・ダウンさせるので、当然ながら定量的な指標だけでは馬券で勝てず、過去のレースを定性的に判断して競馬予想しなければならない。それでも、競馬予想する上で定量的な指標を効果的に用いている人は多くはないので、真完全タイム差は競馬予想する上の大きな武器となり得るのである。

 

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